離婚を考える多くの夫婦が直面する「マイホームをどうするか?」の問題。この問題をクリアにするためには、以下の手順で現状を把握することから始めます。
01:持ち家・マイホームの名義を確認する
02:住宅ローンの名義・残債を確認する
03:持ち家・マイホームの売却価格を査定する
04:マイホームの査定価格と住宅ローンの残債を比較する
この01~04をおこなうことで、「マイホームを売却すべきか?」「売却するならどのような方法で売却すべきか?」「売却せずに住み続けるべきか?」「住み続けるなら誰が住宅ローンを負担していくべきか?」といった方向性が見えてきます。本記事では、03と04について解説していきます。
マイホームの売却価格を査定する方法
マイホームをいくらで売却できるかを知るためには、不動産業者に査定を依頼するのが一般的です。査定依頼をする際は、1社だけでなく4~5社に依頼するようにしましょう。
不動産の査定価格は業者によってバラツキがあるため、複数社の査定価格を見ることでおおよその相場を把握できます。なお、不動産の売却査定はほとんどの場合、無料です。
マイホームの査定価格と住宅ローンの残債を比較する!
マイホームの査定価格を把握できたら、住宅ローンの残債と比べてどちらが大きいかを確認します。住宅ローンの残債を確認する方法は、「離婚準備ガイド【妻向け】住宅ローンの名義・残債を確認しよう!」で解説しています。
アンダーローンの場合
マイホームの査定価格が住宅ローンの残債より大きい状態を「アンダーローン」と言います。
たとえば・・・
マイホームの査定価格が2,500万円で、住宅ローンの残債が2,000万円の場合は、アンダーローンです。
アンダーローンの場合は、「マイホームをどうするか?」の方向性を決めやすいかもしれません。というのも、マイホームを売却してしまえば、その売却代金で住宅ローンを完済できるからです。そのうえで、余ったお金は財産分与で分けることになります。
上記の例では、住宅ローンを完済したうえで手元に500万円が残ることになります(※不動産の売却手続きに要する仲介手数料や登記費用などは考慮していません)。
▼連帯保証・連帯債務の関係も解消
「離婚したら、住宅ローンの連帯保証人・連帯債務者から外れたい!」と考える女性は多くいます。アンダーローンの場合、マイホームを売却してしまえばこの問題は解決します。住宅ローンを完済すれば債務が消滅するため、当然、連帯債務や連帯保証の関係も解消されます。
オーバーローンの場合
住宅ローンの残債がマイホームの査定価格より大きい状態を「オーバーローン」と言います。
たとえば・・・
マイホームの査定価格が2,000万円、住宅ローンの残債が2,500万円の場合は、オーバーローンです。
オーバーローンの場合は、マイホームの売却代金だけでは住宅ローンを完済できません。住宅ローンを完済できなければ、事実上、マイホームの売却はできません。
上記の例では、住宅ローンを完済するには500万円が不足しています。住宅ローンを完済できない場合は、金融機関の承諾なしにマイホームを売却することはできません。仮に500万円の貯金があったり親族から500万円の援助を受けたりできれば、それを加えて住宅ローンを完済できるため、マイホームの売却も可能になります。
▼連帯保証・連帯債務の関係はどうなる!?
「離婚したら、住宅ローンの連帯保証人・連帯債務者から外れたい!」と考える女性は多くいますが、オーバーローンの場合は難しいと言わざるを得ません。オーバーローンの場合、元妻が連帯保証人・連帯債務者から外れるためには金融機関の承諾が必要ですが、離婚という理由で金融機関が承諾することはまずありません。
とはいえ、100%承諾が得られないわけではありません。以下のような方法をとれる場合は、金融機関の承諾を得られるケースもあります。
・別の連帯保証人・連帯債務者を立てる
自分の代わりに連帯保証人・連帯債務者になってくれる人を立てることで、金融機関の承諾が得られるケースがあります。
とはいえ、現実的に引き受けてくれる人を探すのは難しいでしょう。もし、親族などが引き受けてくれたとしても、安定した返済能力が見込める人でなければ金融機関の審査に通らない可能性もあります。
・別の不動産を担保に差し出す
住宅ローンの残債をカバーできるだけの資産価値を有する別の不動産を担保に差し出すことで、金融機関の承諾が得られるケースがあります。
とはいえ、それだけの資産価値のある不動産を持っている人は限定されるはず。現実的な方法とは言えません。
・住宅ローンの借り換えをする
住宅ローンの借り換えとは、新たに別の住宅ローンを契約して、その融資金額で現在の住宅ローンを完済すること。借り換えをすることで現在の住宅ローンは消滅するため、連帯保証人・連帯債務者からも外れることができます。
とはいえ、新たに住宅ローンを組むことになるため、夫もしくは妻には、新たな住宅ローン審査をパスできるだけの安定収入が求められます。経済力が乏しい場合は、借り換えも難しくなってきます。
▼任意売却という選択も!
オーバーローンの場合、基本的にマイホームの売却は困難ですが、任意売却という方法なら売却できる可能性があります。
任意売却とは、住宅ローンを返済できなくなった場合に、金融機関の承諾を得てオーバーローンのマイホームを売却すること。マイホームの売却代金で返済しきれなかった債務については、金融機関と話し合いのうえ、月々無理のない範囲で返済していくことになります。
>> 任意売却の詳細はこちら
まとめ:持ち家・マイホームの売却価格査定について
「離婚後、マイホームをどうすべきか?」という判断は、住宅ローンがアンダーローンかオーバーローンかによって大きく左右されます。オーバーローンの場合は、離婚後に思わぬトラブルを招くケースがあるため、離婚準備の段階から任意売却も視野に入れて最善の可能性を探ることが大切です。
この記事の監修者情報
- 監修者
- 斎藤 善徳(さいとう よしのり)
- 不動産業界歴
- 約20年
- 担当した任意売却数
- 200件以上
- 保持資格
- 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
- 著書
- 運営会社:
- 千里コンサルティング株式会社
- 本社オフィス:
- 〒534-0021 大阪市都島区都島本通4-22-4 2階
- 電話番号:
- 06-6180-9111 FAX:06-6180-9177
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