財産分与
ローン返済中の家は離婚時の財産分与の対象?
売却できる?
離婚に際して避けて通れない、財産分与の問題。婚姻中に築いた夫婦共同の財産は、基本的にすべて財産分与の対象となります。身近なもので言えば預貯金や自動車などが挙げられますが、なかでも厄介なのが婚姻中に購入した不動産です。
夫婦間の連帯保証に関する問題は、離婚後のトラブルのもとです。後腐れないよう、離婚が成立する前にきちんと対策をしておきましょう。連帯保証に関する、よくあるご相談に専門アドバイザーがお答えします。
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離婚時の財産分与において、返済中の住宅ローンの扱いはどうなるのでしょうか?
Aさん(43歳/男性)からのご相談
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専門アドバイザーからの回答
不動産の価値とローンの残債の差額を把握したうえで、財産分与を考える必要があります。
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離婚が決まり、現在住んでいる家の売却を検討しています。住宅ローンは完済していませんが、この状態で売却できるのでしょうか?
Bさん(51歳/男性)からのご相談
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専門アドバイザーからの回答
はい、売却自体は可能です。しかし、不動産の時価次第で売却の方法が変わりますので、事前の下調べが重要になります。
--もっとくわしく解説!--
ローン返済中の不動産を売却する場合、売却したお金でローンの残債を一括返済することになります。つまり、家を売ったお金で残りのローンをすべて支払うことができれば何の問題もありませんが、注意しなくてはならないのは、売却査定金額がローン残債よりも大幅に下回る場合(オーバーローン)です。この場合でも、足りない差額分を預貯金などから捻出して支払えるのであれば問題ありませんが、今後の生活を考えると、なかなかそうもいかないのが現実でしょう。
足りない分を一括返済できる目途が立たないと、そもそも一般的な方法では不動産の売却が認められません。家を売れないとなると、これまで通りに債務者が支払いを続けなければなりませんが、万が一滞納してしまうと金融機関から一括返済を求められることも……。そうなると最悪の場合は不動産を差し押さえられ、裁判所によって強制的に競売にかけられてしまいます。
では、どうしたらオーバーローンでも不動産を売却できるのでしょうか?その答えが「任意売却」です。任意売却とは、不動産の時価が住宅ローンの残債を下回る場合でも、金融機関との合意のもとに売却できるようにする不動産取引のことを言います。「離婚後、一から人生をリセットしたい」「競売にかけられて安値で売られるのは避けたい」という方は、任意売却を検討してみてください。
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離婚に際して現在暮らしている家の任意売却を検討していますが、子供のことを考えると、どうにか現在の家に住み続けられる方法があれば……と思っています。何か方法はありますか?
Cさん(32歳/女性)からのご相談
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専門アドバイザーからの回答
状況に応じて、「買い戻し」と「リースバック」という2つの選択肢が考えられます。
--もっとくわしく解説!--
任意売却で家を手放すことになった場合、生活環境の変化によるお子さんの心理的な負担を考えると、何とかして今のまま暮らし続けたいという方は多いはず。「買い戻し」、もしくは「リースバック」という方法なら、現在の家に暮らし続けることが可能です。
「買い戻し」とは親族に家を買い取ってもらい、買い主に賃料を支払うことで現在の家に住み続けるという方法です。なお、収入が回復する目途が立った段階で、家を買い戻すのが一般的です。親身に相談できたり、援助してくれたりする親族が近くにいる場合は、買い戻しを検討してみるとよいでしょう。
一方、「リースバック」は、買い戻しを相談できる親族がいない場合、投資家などの第三者に不動産を売却し、賃貸物件として現在の家に入居するという方法です。賃貸契約を結ぶため、安定した収入があることが前提になります。1万名以上の個人投資家の方とのネットワークを保有している全国任意売却支援相談室(千里コンサルティングオフィス)なら、身近に頼れる親族がいない場合にも、最適な売却先をご提案させていただきます。お気軽にご相談ください。
この記事の監修者情報
- 監修者
- 斎藤 善徳(さいとう よしのり)
- 不動産業界歴
- 約20年
- 担当した任意売却数
- 200件以上
- 保持資格
- 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
- 著書
- 運営会社:
- 千里コンサルティング株式会社
- 本社オフィス:
- 〒534-0021 大阪市都島区都島本通4-22-4 2階
- 電話番号:
- 06-6180-9111 FAX:06-6180-9177
- フリーダイヤル:
- 0120-15-2020
--もっとくわしく解説!--
婚姻中に築いた財産のすべてをそれぞれ分け合う、財産分与。対象となる財産は、不動産や預貯金、株式、自動車、家電製品、家具など多岐にわたります。ただし、婚姻前から所有していた財産や婚姻後に相続した財産、個人的に購入した物品は対象となりません。
そのなかでも特に厄介なのが、ローン返済中の不動産。不動産の価値と住宅ローンの残債を照らし合わせて、財産分与を考える必要があります。気をつけたいのは、「不動産の価値と住宅ローンの残債にどれほどの差額があるのか」というポイントです。
まず、不動産の時価が住宅ローンの残債を上回り、利益が生じることをアンダーローンと言います(例:住宅ローンの残債800万円に対して、不動産の時価が1,500万円)。このとき、まずはローンを一括返済し、余った利益が財産分与の対象となります。
逆に、不動産の時価がローンの残債を下回り、売却してもローンが残ってしまうことをオーバーローンと言います(例:住宅ローンの残債1,500万円に対して、不動産の時価が800万円)。この場合は不動産に価値が認められず、財産分与の対象とみなされません。
【アンダーローンの場合】
不動産の時価>ローンの残債
ローンを一括返済し、余った利益が財産分与の対象となる。
【オーバーローンの場合】
不動産の時価<ローンの残債
売却後もローンが残り、不動産の価値が認められないため、財産分与の対象とならない。