瑕疵担保責任（かしたんぽせきにん）とは？ 具体例と併せて解説｜大阪で任意売却なら全国任意売却支援相談室（千里コンサルティングオフィス）

どんな業界にも専門用語というものはありますが、日常生活では、ご自身の専門分野以外に触れることはあまりないと思います。

しかし、新居ご購入などに伴う引っ越しの際には、否応なしに不動産に関する法律を目にすることがあるはずです。

その中でも、度々出てくる言葉として、【瑕疵担保責任】（かしたんぽせきにん）というものがあります。

普段、使わない難しい漢字が出てきて面食らうかもしれませんが、重要な概念ですので、是非覚えておいてください。

※2019年に施行された新しい民法では、瑕疵担保責任の考え方が少し変わりましたが、この概念自体がなくなったわけではありません。

瑕疵（かし）とは

瑕疵担保責任という言葉が難しいかというと、『瑕疵』の意味がわからないからです。

瑕疵とは下記のようなものです。

瑕疵（かし）とは、通常、一般的には備わっているにもかかわらず本来あるべき機能・品質・性能・状態が備わっていないこと。

※Wikipediaより抜粋

くだけた言い方をすると、普通に考えたらあるはず（と誰もが思う）のものがなかったり、壊れていたりするということです。

しかし、この『一般的』や『普通』とされるものが、しばしば人によって会社によって違うので、それを規定しておかなければトラブルの種になります。

瑕疵担保責任とは？

民法に規定された瑕疵担保責任は、

売買時、売主から買主に売買の対象物が引き渡された際、それに隠れた瑕疵（容易に発見できない欠陥）があれば損害賠償などの責任を負う

ことをいいます。

ここで言う『隠れた瑕疵』とは、買主が普通に確認しただけでは見えない欠陥のことを指し示しています。

ですので、誰がどう見ても明らかに外から確認できるものは含まれません。

逆に言うと、売主が広告する際に、品質や性能を保証した場合には、その基準に満たなければ瑕疵となります。

ちなみに、民法には明記されていませんが、瑕疵担保責任を追及できる期間は、買主が瑕疵の事実を知ったときから1年以内に行なわなければならないと規定されています。

宅建業法では、原則として、この民法上の規定より買主に不利となる特約は無効となります。

しかし、宅地建物取引業者が自ら売主となる場合には、買主が瑕疵担保責任を追及できる期間を「引渡しの日から2年間」とすることが例外として認められています。

具体的な事例

では、不動産においての瑕疵には一体どんなものがあるでしょうか？

以下、代表的なものを挙げましたのでご参考になさってください。

• 雨漏り・・・天井、外壁などからの浸水
• 腐蝕（ふしょく）・・・木部だけでなく、鉄製部分も含む。水回りが多い
• シロアリ・・・特に一軒家
• 給排水管の故障・・・配管の割れ・濁り・詰まり
• 地盤沈下や土壌汚染

等々。

また、この他にも、近隣の増築計画や周辺環境に影響を及ぼすと思われる施設の存在なども含まれます。

どれも住むにはふさわしくない住宅の典型例ですね。

こういった物理的な瑕疵だけではなく、心理的な瑕疵（事故や事件、自殺など）も含まれます。

改正民法の変更点

「瑕疵」という表記が「目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないもの」と変わりました。

これまでは瑕疵に該当する場所のみでしたが、保証の範囲が『契約の目的』を達するというところまで期待されているので、全体に及ぶことも考えられるということです。

また、それまでは損害賠償の請求や無償での修正は、納品から一年とされていましたが、改正民法では『知ったときから1年』ということに変更されています。