現況調査という言葉は聞いたことがあっても、その内容まで理解している方は少ないのではないでしょうか?
現況調査は競売手続き1つで、そのまま何もしなければ、やがて家は競売にかかり、明け渡して家を出ることになります。
この記事では、現況調査の概要と、競売を避ける手段のひとつである任意売却の解説もしています。
また、現況調査により起こるデメリットや、現況調査の結果を基におこなわれる競売を回避する方法についても解説しているので、最後までお読みください。
現況調査とは
住宅ローンを3~6ヶ月滞納すると、競売の手続きが開始し、競売手続きの1つとして現況調査が行われます。
現況調査の目的は、競売の準備のために不動産を鑑定し最低落札額を算出することと、競売物件の現状を調査することです。
現況調査を行うのは執行官と呼ばれる方たちで、各地方裁判所に所属する裁判所の職員です。
執行官は、裁判所の判決を実現するために非常に強力な権限を持っており、現況調査を妨害する債務者に対して、自ら警察に援助を求め、妨害を排除できます。
現況調査は、競売開始の申し立てがあってから約1ヶ月後に行われます。
現況調査から競売が行われて物件を引き渡すまで通常4~6ヶ月なので、現況調査が行われたということは強制退去までの時間が少なく危険なサインなのです。
現況調査の内容
現況調査は、執行官と不動産鑑定士の2人によって行われます。
内容は、不動産業者が物件を調査することとそれほど違いはありませんが、法律に基づいて行われる強制的なものなので、競売物件の所有者である債務者に拒否権はありません。
債務者が鍵をかけて調査を妨害した場合は、執行官は鍵屋を連れてきて、強制的に開けることが出来ます。
現況調査の主な調査方法は、建物の外部や室内の写真撮影、外観や建物の基礎部分を目視で確認、周辺環境の調査、居住者や近隣住民へのヒアリングの4つです。
これらの方法で、以下の3点を調査します。
・不動産の状態、特に建物の状態がどうなのか
建物に異常があるかどうかは登記からは分からないので、実際に物件を見て判断するのです。
一戸建ての場合、接道も調査します。
場合によっては、再建築できない物件の可能性があるからです。
・権利関係がどうなっているのか
現況調査に行ってみたら、登記上の所有者と違う人が当該物件を借りて住んでいる可能性もあります。
他人に賃貸している場合、担保価値が下がる場合があります。
・どのような人が住んでいるのか
所有者が素直に引き渡しに応じてくれるような人なのかを調べます。
また、家族構成なども、調査の対象になります。
現況調査により起こるデメリット
まず、現況調査自体が、債務者にとって大きな精神的負担となります。
現況調査は、ほとんどの方にとって初めての経験で、競売の手続きが進んでいることを実感せざるを得ないため、債務者の精神にかかる負担は大きなものでしょう。
次に、現況調査の一環で、近隣住民へヒアリングが行なわれることがあります。
例えば、隣地との境界がはっきりしない場合など、隣地所有者に確認をするのです。
その際に、聞き込みをした住民に、当該物件が競売にかかっていることが知られる可能性があります。
そこから近隣住民に、競売にかかっていることが広まることも十分考えられます。
競売を回避する3つの方法
現況調査後、何の対策もしなければ、競売が実施され家を出なければなりません。
そこで競売を回避するための方法を3つ紹介します。
1つめは、残債務を一括で弁済する方法、2つめは、住宅ローン特則を利用する方法、3つめは、任意売却を利用する方法です。
それぞれ以下で詳しく解説します。
残債務を一括で弁済する
資力のある親せきや知人からお金を借りて、残債務を一括で弁済する方法です。
残債務を一括で弁済すれば、債権者は競売を取り下げます。
ただし、お金を貸してくれた人への債務は残るので、債務そのものがなくなるわけでないことに注意してください。
しかし、親せきや知人なら無理のない返済計画を受け入れてくれたり、家に住み続けることができたりする可能性があります。
住宅ローン特則を利用する
住宅ローン特則とは、正確には住宅資金特別条項といい、個人再生の一環として住宅ローンを個人再生から除外し、現在の家に住み続けることができる制度です。
ただし、この制度を利用するには以下の条件を満たすことが必要です。
・借金が住宅ローンであること
住宅購入以外の目的で、ローンの一部を利用している場合は、住宅ローン特則は使えません。
・債務者自身の持ち家であること
債務者と住宅の所有者が異なる場合は、住宅ローン特則は使えません。
例えば、債務者が夫で、住宅の所有者が妻である場合などが当たります。
・債務者自身が居住している家であること
投資目的の住宅など、居住の実態がない場合は、住宅ローン特則は使えません。
・住宅ローン以外の抵当権がないこと
・保証会社が代位弁済した6ヶ月以内であること
条件が厳しいですが、利用できれば家に住み続けることができる上に、住宅ローン以外の債務を大幅に減額できるので、検討する価値は十分あります。
任意売却を利用する
任意売却とは、住宅ローンの返済を滞納した場合に競売ではなく、債権者である金融機関の許可を得て一定の条件の下で担保付不動産を売却することです。
任意売却は期間入札開始日まで使用できるので、住宅ローン特則の期日を過ぎてしまっても使える可能性があるところがメリットの1つです。
また、任意売却は競売と比較して以下のメリットがあります。
・債務者が売却相手を任意に選べる
競売の場合、競売により落札者が決まるので、債務者に選択の余地はありません。
・市場価格に近い価格で売却できる
競売の場合、市場価格の5~7割ほどの落札価格になります。
・情報が公開されない
競売の場合、競売物件の情報が公開されます。
・退去時期を事前交渉により決められる
競売の場合、退去時期は裁判所が決定します。
競売に比べて、メリットの多い任意売却ですが、成功させるためには3つのポイントがあります。
1つ目のポイントは、任意売却を専門に扱う不動産業者や弁護士、司法書士などの第三者に依頼することです。
任意売却の手続きは複雑で、一般の方が行うには難しいからです。
2つ目のポイントは、出来るだけ早い時期に上記の専門家に相談をすることです。
相談時期が早いほど、売り手を見つける時間を長く確保出来て、債務者にとって良い条件で売却出来る可能性があるからです。
3つ目のポイントは、債権者との交渉を上手く行うことです。
債権者は投下した資本をなるべく多く回収したいため、売却価格を高めに設定したがる傾向にあります。
任意売却の専門家なら経験から適切な売却価格を金融機関と交渉してもらえるからです。
まとめ
現況調査について、その内容とデメリット、最終的には競売にまで行きつくことを解説しました。
また、競売を回避する有力な方法として任意売却についても詳しく解説しました。
任意売却は、競売回避の方法として一般の方々にも浸透しつつあります。
しかし、任意売却を行うには、手続きの煩雑さや金融機関との交渉といった専門的な知識やスキームが必要です。
任意売却を検討されているなら、全国任意売却支援相談室(千里コンサルティングオフィス)にご相談ください。
任意売却専門のプロフェッショナルが、最後まで親身になってサポートいたします。
任意売却の最新記事
-
2024/11/20
任意売却で市場価値を最大限引き出す!東京・大阪・神奈川・千葉・京都など地域特性を活かした販売戦略とは?
全国任意売却支援相談室、千里コンサルティングオフィスです。 任意売却は、競売を回避しつつ市場価値に近い価格で不動産を売却できる方法です。
-
2024/11/13
住宅ローンが払えないときにまず取るべき行動と相談先の選び方とは?解決法や注意点について解説します
全国任意売却支援相談室、千里コンサルティングオフィスです。 住宅ローンの支払いが難しくなることは、誰にでも起こり得る問題です。 離
-
2024/11/6
任意売却の相談先はどうやって選べばいい?大阪で安心して任意売却を成功させる方法と流れ
全国任意売却支援相談室、千里コンサルティングオフィスです。 住宅ローンの返済が厳しくなった際、解決策の一つとして「任意売却」があります。