不動産売却時には3種類の税金が発生します。
それぞれ発生時期が異なるため、申告を忘れないようにしましょう。
この記事では、不動産売却時に発生する税金の種類と計算式を解説します。
また、利用できる特別控除についてもケース別にご紹介します。
「不動産売却時に支払う税金をなるべく抑えたい」と考えている方は、ぜひ参考にしてください。
不動産売却時に支払う税金の種類
不動産を売却した際は、印紙税・登録免許税・譲渡所得税がかかります。
それぞれの支払い時期は、印紙税が売買契約成立時、登録免許税が不動産引き渡し時です。
譲渡所得税は所得税と住民税に分けられ、所得税は確定申告時、住民税は売却翌年の6月以降に支払う必要があります。
不動産売却時にかかる譲渡所得税の計算式
譲渡所得税は売却価格から取得費用と譲渡費用、特別控除を引いたものに20~39%の税率をかけて計算します。
計算式は以下のとおりです。
(売却価格 ー 取得費用 - 譲渡費用 - 特別控除額 ) × 税率(20%~39%)
この計算により譲渡所得が発生した場合は確定申告が必要であり、利益が出なかった場合は非課税になります。
利益が出るか出ないかは取得費用や譲渡費用の金額によるため、何が費用として充てられるかきちんと確認したうえで計算してください。
取得費用
取得費用とは、売却した不動産の取得にかかった費用のことです。
例えば、購入代金・購入時の税金・仲介手数料・建築費用・設備費用などが取得費用となります。
売却する不動産が建物の場合、取得費用の合計から減価償却費を引くこともあります。
減価償却費の計算式は、「取得費用×0.9×償却率×経過年数」です。
償却率は建物の構造によって変わります。
また、取得費用が不明の場合は、売却価格の5%が概算取得費用となります。
譲渡費用
譲渡費用とは、不動産売却時にかかった経費のことです。
例えば不動産会社の仲介手数料や測量費用、立退料などが含まれます。
建物を取り壊して土地を売却する場合は、解体費用などが譲渡費用となります。
売却するために測量や解体などを依頼した場合は、譲渡費用として売却金額から引いてください。
特別控除額
特別控除では、「3,000万円特別控除」「軽減税率」などが利用できます。
条件を満たせば適用されるため、特別控除を利用して売却時の利益が出なければ、納税額を減らすことが可能です。
適用されればかなりのプラスになるため、不動産売却時にどの特例が利用できそうか調べることをおすすめします。
【ケース別】不動産売却時の税金対策として使える特別控除とは
不動産売却時には、さまざまな特別控除を利用することが可能です。
マイホームの売却から土地の売却まで利用できます。
売却理由によって控除額が異なるため、不動産売却時は条件を満たすか確認してからの売却をおすすめします。
ケース | 控除額(万円) |
マイホームや空き家の売却 | 3,000 |
公共事業などのための売却 | 5,000 |
特定土地区画整理事業などのための売却 | 2,000 |
特定住宅地造成事業などのための売却 | 1,500 |
平成21年及び平成22年に取得した国内の土地の譲渡 | 1,000 |
農地保有の合理化などのための売却 | 800 |
低未利用土地の売却 | 100 |
マイホームを売却した場合
「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といい、所有期間に関係なく譲渡取得から最高3,000万円まで控除できます。
自分が住んでいる家屋や、家屋と敷地や借地権を売るときなどに適用されため、マイホームを売却する方には必見の特別控除です。
条件はいくつかありますが、空き家となってから3年となる年の年末までに売却することが条件の1つです。
それ以上経過すると、条件から外れてしまうため注意しましょう。
また、家屋を解体した場合は2つの要件に当てはまることが必要となります。
なお、適用除外となるケースは、以下の3つです。
特例の適用のみを目的とした入居や一時的に居住する家屋には特例が適用されません。
・この特例の適用を受けることだけを目的として入居したと認められる家屋
・居住用家屋を新築する期間中だけ仮住まいとして使った家屋、その他一時的な目的で入居したと認められる家屋
・別荘などのように主として趣味、娯楽または保養のために所有する家屋
要件を詳しく知りたい方は、国税庁の公式サイトをチェックしてください。
空き家を売却した場合
相続か遺贈により取得した空き家は、要件を満たせば譲渡所得の金額から最高3,000万円の控除が受けられます。
ただし、令和5年12月31日までに売却することが必要なため、売却期限に注意してください。
また、特例の対象となるのは昭和56年5月31日以前に建築されており、区分所有建物登記がされておらず、相続開始直前に被相続人以外に居住していた人がいなかった建築物です。
築42年以上経過していなければ適用されないため、空き家の売却を検討している方は今一度確認してみましょう。
特例の適用を受けるための要件が多いため、詳しく知りたい方は国税庁の公式サイトをチェックしてください。
まとめ
不動産売却時にかかる税金は、「印紙税」「登録免許税」「譲渡所得税」の3つです。
それぞれ支払い時期が異なるほか確定申告が必要なケースもあるため、忘れずに申告して納税しましょう。
また、特別控除の利用を考えている場合は、要件をしっかりと確認したうえで申請してください。
要件や申告方法、提出書類などは国税庁のホームページで確認できます。
なお、この記事は不動産会社を仲介しての不動産売却を想定しています。
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