親族間の不動産売買は売買価格や条件の融通が利きやすく、売主と買主の合意が得られれば双方にとってメリットの大きい取引といえます。
ただし、売買価格を安く設定しすぎるとみなし贈与と判断されて課税対象になることや、住宅ローン審査に通りにくいなどのデメリットもあるため、事前によく確認しておきましょう。
本記事では、親族間で不動産売買を行う際の手順や、一般的な不動産売買との違いについてもご紹介しています。
親族間の不動産売買を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
親族間で不動産売買を行う際の手順
親族間であっても、不動産売買を行う際にはきちんと手順を踏まなければなりません。
トラブルなく、かつスムーズに不動産売買を成立させられるよう、事前によく確認しておきましょう。
不動産の適正価格と権利状況を確認する
親族間の不動産売買では「不動産の適正価格」と「権利状況」の2つについて正確に確認しておきましょう。
特に、不動産の適正価格については、不動産会社の査定などを利用して綿密に調べる必要があります。
相場を把握せずに著しく安い価格で取引してしまうと、トラブルになる恐れがあるためです。
また、権利状況については、登記事項証明書で不動産の所有者や抵当権は設定されているか・差し押さえなどの記載がないかなどをチェックしてください。
親族間の不動産売買における適正価格については、こちらの記事でもご紹介しているため、参考にしてください。
「親族間売買の適正価格を知る3つの方法!注意すべき「みなし贈与」とは?」
売買の条件を設定する
次に、不動産売買の条件を決めていきましょう。
例えば、引き渡し後に不動産の不備が見つかった場合は、誰がどのように責任を取るのか、契約解除となる事項にはどのようなものを含めるのかなどを明確にしておく必要があります。
また、決済や引き渡しの時期についても決めておくとよいでしょう。
すべての条件について、売主と買主が話し合って合意できる内容にしておかなければなりません。
売買契約を結ぶ
売買価格と売買する際の条件について双方の合意が得られたら、売買契約を結びます。
売買契約書に必要事項を記入し、売買代金を支払います。
ローンを利用しない場合はそのまま決済と引き渡しを行いますが、ローンを利用する場合は契約後に金融機関による審査を受けることになるため、決済日は後日となるのが一般的です。
売買契約を結ぶのと同時に所有権移転登記を行いますが、専門的な手続きが多いため、司法書士に依頼することをおすすめします。
親族間と一般的な不動産売買の違い
親族間の不動産売買を検討する前に、一般的な不動産売買とはどのような違いがあるのかを確認しておくとよいでしょう。
仲介手数料が不要な場合がある
一般的な不動産売買だと不動産会社が仲介し、買主の募集や売却活動などを行います。
親族間の不動産売買は買い手がすでに確定しているため、売却活動は不要です。
そのため、不動産会社に支払うはずの仲介手数料がかからないという特徴があります。
ただし、住宅ローンを利用する場合や、任意売却による親族間売買を行う場合などは、不動産会社に仲介を依頼する必要があります。
その場合は、一般的な不動産売買同様に仲介手数料がかかるため、手数料の相場を確認しておくとよいでしょう。
控除や特例が使えないことがある
親族間の不動産売買と一般的な不動産売買には税務上の違いもあるため、注意が必要です。
一般的な不動産売買で適用される控除や特例の中には、取引の相手が親族や血族の場合だと適用されなくなるものもあります。
特に影響が大きいのが、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円までの控除です。
この控除が適用されると譲渡益から3,000万円を控除して税金を計算できますが、取引の相手が親族だと適用外になるため、譲渡所得税が高額になる恐れがあります。
住宅ローンの審査に通りにくい場合がある
親族間の不動産売買では住宅ローンの審査が厳しくなる点も、一般的な不動産売買との違いの1つです。
前提として、住宅ローンは親族間の不動産売買を想定したものではありません。
なぜ親族間で不動産を相続や贈与ではなく「売買」する必要があるのか、疑問に感じる金融機関も多いでしょう。
また、「融資したお金を住宅の買取以外に使用するのではないか」という疑いを持たれる場合もあります。
このような理由から、親族間の不動産売買では住宅ローンの利用が簡単には認められません。
親族間で不動産売買を行うメリット
親族間の不動産売買のメリットは、双方にとって都合のよい条件で取引できることです。
売主にとっては、思い入れのある家を見ず知らずの人に売らずに済むことや、引き渡しの日時などを比較的自由に決められることなどのメリットがあります。
買主にとっても、相場より安い価格で不動産を購入できる可能性があること、購入後に不動産の不具合が見つかっても売主とのコミュニケーションが取りやすいことなど、魅力的な条件がそろっています。
また、相続が発生する前に親族間で不動産の売買を行っておくことで、相続トラブルを回避できる点もメリットの1つです。
親族間で不動産売買を行うデメリット
デメリットとしては、みなし贈与と判断されてしまう恐れがあることが挙げられます。
みなし贈与とは、本人たちに贈与を行ったという認識がないにもかかわらず、「贈与があった」とみなされることです。
親族間の不動産売買において相場より大幅に安い価格で取引した場合、みなし贈与と判断されて贈与税の課税対象になる恐れがあります。
また、不動産の買主は今後ほかのローンを利用しにくくなるため、将来のことをよく考えたうえで不動産売買を行うかどうか決めたほうがよいでしょう。
まとめ
不動産は親族間で売買することも可能であり、一般的な不動産売買とは違う特徴があります。
特に、愛着のある家を見ず知らずの人に売らずに済むため、大きなメリットを感じる方は多いでしょう。
ただし、相場より著しく安い価格で取引してしまうと、みなし贈与と判断され、課税対象になる恐れがあるため注意が必要です。
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