「親の住宅ローンは親孝行のために子が払うべきだ!」
親の住宅ローンについて、このような意見を持つ人もいるかもしれません。
しかし、子がすでに住宅ローンを組んでいる場合、親の住宅ローンまで肩代わりできないでしょう。
また、昨今の不況もあり親の住宅ローンを返済する余裕がないかもしれません。
そこで本記事では、どのようなケースにおいて親の住宅ローンを子が払う義務が生じるのか解説します。
また、親の住宅ローンを払えないときの対処法と払う場合の注意点にも触れています。
親の住宅ローンで不利益を被ることやトラブルを避けたい人は、ぜひ参考にしてください。
【ケース別】親の住宅ローンが残っている場合は子が払うべき?
親の住宅ローンが残っている場合、子が払うべきかどうかはケースによって変わります。
住宅を相続するケースではもちろん支払い義務が生じます。
しかし、住宅を相続しない場合でも、相続放棄しないと支払い義務が生じる点に注意してください。
住宅を相続するケース
住宅を相続するケースにおいては当然、住宅ローンの支払い義務が生じます。
なぜなら相続とは、不動産や金銭などプラスの財産を引き継ぐとともに、借金やローンなどの負の財産を引き継ぐことでもあるからです。
そのため、親から金銭などの財産を相続した場合には、負債である住宅ローンも相続する義務があります。
ただし、相続では住宅ローンの一部のみ負担するケースもあれば、すべて引き受けることになるケースもある点に注意しましょう。
住宅を相続しないケース
住宅ローンは、不動産を相続した人だけでなく相続人全員が法定相続分で相続します。
そのため、ローンが残っている不動産を相続しない場合でも、相続権を所持している場合は住宅ローンの支払い義務が生じます。
例えば、子が3人兄弟でほかに相続人がいない場合、原則として親の住宅ローンを3人で分割することとなる点に注意が必要です。
つまり、法定相続人が少なければ少ないほど1人当たりの負担額は大きくなるでしょう。
もしほかに親類がおらず法定相続人が1人の場合、住宅ローンをすべて引き受けることになるかもしれません。
親子リレーローンを組んでいるケース
最近では、親子で住宅ローンを組み、2世代で1つのローンを返済する「親子リレーローン」が増えています。
名称は「親子リレー返済」など金融機関によってさまざまです。
親子リレーローンを組んでいる場合は、最初の返済者である親が何らかの事由で返済ができなくなると、子に返済義務が生じます。
そのため、後継者である子が住宅ローンを支払わなければいけません。
親の住宅ローンを子が払えない場合の対処法
すでに子が家を購入していたり、住宅ローンを払うほど余裕がなかったりして親の住宅ローンを払えない場合もあるでしょう。
親の住宅ローンを払えない場合は、当初の契約で団体信用生命保険に加入しているか確認してください。
もし団体信用生命保険に加入していなければ、相続放棄や任意売却を検討しましょう。
団体信用生命保険の内容を確認する
通常、住宅ローンを組む際には「団体信用生命保険」に加入します。
団体信用生命保険とは、住宅ローンの契約者が「死亡」「高度障害」など特定の事由に該当した場合に、ローン残高が0円になるという保険です。
団体信用生命保険に親が加入している場合は、相続の際に住宅ローンの残債が無くなります。
ただし、団体信用生命保険の審査に通らなかったりフラット35で住宅ローンを組んでいたりする場合は、未加入となる点に注意してください。
未加入の場合は、相続時に住宅ローンが残ったままとなります。
相続放棄を検討する
住宅ローンの支払いが厳しい場合は、相続放棄も選択肢の1つです。
相続放棄とは、被相続人の財産も負債もすべて「相続しない」ことをいいます。
親の貯金や不動産をまったく相続できなくなりますが、残っている住宅ローンを支払う必要がなくなります。
例えば、親の財産と負債を合算してマイナスになる場合は相続放棄をすることで、不利益が生じるのを回避できるでしょう。
ただし、相続放棄の放棄ができるのは「事故のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内」と決まっています。
期限を過ぎると放棄できなくなるため、忙しいからと後回しにしないよう気をつけてください。
任意売却を検討する
団体信用生命保険未加入で相続放棄も考えていない場合は、任意売却の検討をおすすめします。
任意売却とは、住宅ローンが残っている住宅を債権者の許可を得て売却する方法です。
住宅ローンを支払えず競売にかけられた場合、市場価格より2~3割安い価格で取引されます。
しかし、競売にかけられる前に任意売却をすれば、市場価格に近い値段で取引できます。
競売でも任意売却でも、売却金額は住宅ローンの返済にあてられます。
そのため、住宅ローンが支払えなくなった場合は少しでも販売価格が高くなる任意売却がおすすめです。
任意売却のメリットや手続き方法について詳しく知りたい方は「任意売却とは」をご覧ください。
親の住宅ローンを子が払うときに注意したいこと
子が親の住宅ローンを払うときは、贈与税の対象にならないか注意しましょう。
相続内容についてきちんと話をしていなければ、ほかの相続人とトラブルになる可能性もあります。
なお、親族間で住宅を売買し、住宅ローンを引き継ぐ場合には、贈与税や売却価格について注意する必要があります。
もし、親族間売買で住宅を譲り受ける場合には『親族間売買の適正価格を知る3つの方法!注意すべき「みなし贈与」とは?』も参考にしてください。
資金援助が贈与税の対象になる
親が住宅ローンの名義人のまま、つまり存命中に子に名義変更せず子がローンの返済を肩代わりした際、資金援助したとして贈与税の対象になることがあります。
父母や祖父母などの直系尊属からの贈与であれば、2023年12月までは住宅取得資金の贈与は要件を満たせば最大1,000万円は非課税として取り扱うこともできました。
しかし、子から親への贈与は住宅取得資金の贈与にかかる非課税の適用はありません。
なお、贈与税の税率は控除後の金額が200万円以下の場合は10%、300万円以下が15%と贈与額にあわせて上がり、3,000万円を超えると55%にもなるため注意が必要です。
住宅ローンは各相続人に引き継がれる
住宅ローンは不動産を引き継いだ人のみが負担するものではなく、法定相続人すべてが負担します。
そのため、このことを知らない兄弟から数年後に「住宅ローンの支払い義務が自分に生じているのはなぜだ」とトラブルになることも考えられるでしょう。
親族間で相続財産の話し合いをするときには、住宅ローンの支払いについてもあらかじめ相談しておく必要があります。
まとめ
親が団体信用生命保険に加入している場合は、相続時に残っている住宅ローンを支払うことはありません。
そのため、親の住宅ローンを支払うのが不安な方は、団体信用生命保険に加入しているか確認してください。
また、相続放棄や任意売却により支払いを回避することが可能です。
すでに住宅を持っている人や親の住宅ローンを支払う余裕がない人は、どちらかを選択するとよいでしょう。
ただし、相続放棄や任意売却をした場合、不動産は他人の所有物になってしまいます。
思い出がある家であれば、その点を十分理解したうえで選択しましょう。
「任意売却したいけれど何から始めればよいかわからない」とお困りの方は、全国任意売却支援相談室(千里コンサルティングオフィス)までご相談ください。
任意売却のプロがご相談からアフターフォローまで、全国どこでも対応いたします。
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