任意売却は、住宅ローンの返済が滞った際に用いられる手段です。
そのため滞納していないと「任意売却はできない」という認識の方も、多いのではないでしょうか。
基本的には滞納をしていなくても任意売却を行うことはできますが、場合によってはできないことも。
本記事では「任意売却とは」「住宅ローンの滞納がなくても任意売却ができるのか」「任意売却を認めてもらえないケース」などについて解説します。
住宅ローンの滞納はないけれど任意売却を検討している方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
住宅ローンの滞納がなくても任意売却を行うことができるのか
住宅ローンの滞納はないけれど「任意売却を検討している」という方も、いらっしゃると思います。
しかし任意売却は滞納がない状況でも、行うことができるのでしょうか。
ここでは、住宅ローンの滞納がない状態における任意売却について解説します。
滞納がなくても任意売却は可能
結論からお伝えすると、住宅ローンの滞納がなくても任意売却は可能です。
多くの方は、返済が困難になり任意売却を検討します。
しかし住宅ローンを滞納していなくても、金融機関などの債権者側が合意すれば任意売却を行うことができます。
そのため転職や失業などで収入が減り住宅ローンの支払いが困難になる可能性がある場合は、金融機関の合意も得やすくなります。
また、税金などの滞納が続いている場合なども、住宅ローンの支払いが難しくなる可能性が高くなるため金融機関の合意が得やすいでしょう。
場合によっては任意売却が認められないことがある
住宅ローンの滞納がなくても、金融機関の合意を得ることができれば任意売却を行うことができるとお伝えしました。
ただし、債権者である金融機関の合意が得られない場合もあります。
ここでは、任意売却が認められないケースを2つご紹介します。
住宅ローンの返済開始から年数が経っていない場合
1つ目は、住宅ローンの返済が始まってから月日が経っていない場合です。
住宅ローンは、金融機関が借主と不動産の価値を評価し融資を行っています。
そのため、早期の任意売却は金融機関の心象が悪くなり、合意を得ることが難しくなるでしょう。
任意売却に応じてもらうには、最低でも2~3年は返済をしている必要があります。
失業や病気など、やむを得ない理由が原因だとしても、合意を得るのは難しいでしょう。
金融機関から任意売却の合意を得るためには、最低でも2年以上の返済が必要です。
借入の際に詐欺行為があった場合
借入の際に詐欺行為があった場合も、金融機関の合意を得ることができません。
では、どのような行為を詐欺行為と指すのでしょうか。
具体的には「収入を高く見せる」「自己資金を多く見せる」「物件価格を高くみせる」などです。
上記のようなことがあると、住宅ローン詐欺として扱われます。
その場合は任意売却に応じてもらえません。
また借入の際に詐欺行為があった場合は、立派な犯罪になるため刑事事件に発展する可能性があります。
任意売却の流れとは
そもそも任意売却とは住宅ローンなどの融資を受けている人と金融機関との合意に基づいて、返済が困難になった不動産を処分する手続きです。
物件の売却益を住宅ローンの返済にあてて、抵当権を抹消します。
また、強制的な「競売」と異なり、債務者の意思を反映して売却活動ができることも特徴です。
任意売却の手続きは、一般的に3ヶ月~6ヶ月で終了します。
では、どのような流れで進むのでしょうか。
ここでは任意売却の全体像を掴むため、一連の流れを解説します。
任意売却に必要な書類をそろえる
任意売却を行うには、多くの書類が必要になります。
不動産に関する書類は任意売却を依頼した不動産会社が準備してくれることもありますが、役所で取得しなければならない書類もあります。
では、どのような書類が必要になるか確認しておきましょう。
・登記識別情報
・身分証明書のコピー
・不動産売買契約書および重要事項説明書
・建築確認申請書の写し
・間取り図
・固定資産評価証明書
・固定資産税納付書のコピー
・住宅ローン借入時の金銭消費賃貸契約書
・保証委託契約書
・印鑑登録証明書
上記のように、さまざまな書類を揃える必要があります。
多くの書類が必要になるため、任意売却を考え始めたら余裕をもって準備しておくようにしましょう。
任意売却の依頼先を選定する
任意売却は、通常の不動産と同じ市場で売却活動を行います。
また金融機関との連携も必要になるため、任意売却の経験が豊富にある不動産会社に依頼することが重要です。
選ぶ業者を間違えると、任意売却ができない可能性も高まります。
そのため好条件で任意売却を成功させるには、複数の不動産会社に査定を依頼し、信頼できる業者を見極めましょう。
債権者に任意売却の申し入れをする
金融機関など債権者の合意が得られないと、任意売却を進めることができません。
ただし申し入れを行うのは、任意売却を依頼した不動産会社になります。
売却後に残債がある場合に債権者と面談を行うことはありますが、交渉は行いません。
また売却価格や期間も債権者に権利があるため、納得してもらえるように交渉してくれる業者を選ぶことが重要です。
不動産の販売を開始
金融機関などの合意が得られたら、不動産の販売を開始します。
一般的な売却期間は1ヶ月~6ヶ月ですが、売却期間に制限があることが多いため早い売却を目指す必要があります。
また販売中も、家に住んでいる状態で売却活動を行うことが多いでしょう。
購入を検討している人のほとんどは、内覧を希望します。
そのため、念入りに清掃を行い、印象のよい対応を心がけることも大切です。
購入希望者との売買契約を締結する
購入希望者が見つかり売買条件に合意が得られたら、債権者に購入申込書と売買代金配分表を提出します。
売買代金配分表には、物件概要や売却代金、売却にかかる諸費用の明細(仲介手数料など)を記入しましょう。
この際、細かい点まで打ち合わせをし、債権者である金融機関が納得する内容になっているかが重要です。
債権者の合意が得られると、買主と売買契約を締結することが可能になります。
そのため、売却活動中から債権者に状況を報告しておくようにしましょう。
残った債務を返済する
売買契約後、準備が整ったら不動産の決済と引渡しを行います。
物件の明け渡しが必要になるため、引っ越し後に決済と引渡しという流れになるのが一般的です。
決済の際は、関係者が集まり代金の清算と権利書類などの引渡しを行います。
この清算が終われば、任意売却は終了です。
まとめ
住宅ローンの滞納がなくても、任意売却を行うことは可能です。
ただし、場合によっては金融機関の合意が得られないこともあるため、注意が必要です。
また、依頼する不動産会社を選定する際は任意売却を得意とし、実績が豊富な会社を選ぶようにしましょう。
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