「連帯保証人のまま離婚をすると、どんなリスクがあるの?」
住宅ローンを借りるとき、収入合算のために連帯保証人となるケースは多いです。しかし離婚し主債務者と別々に暮らすことになった場合、今の自宅に住み続けられるのでしょうか。
結論、そのまま住み続けるのは難しいといえます。住宅ローンの連帯保証人のまま離婚した場合、強制退去のうえ自己破産となる可能性があるためです。
本記事では、このような最悪の事態を回避する方法の1つである任意売却とリースバッグについて解説します。ぜひお読みください。
連帯保証人のまま離婚する場合のリスク
離婚後、主債務者であった元結婚相手と別々に暮らすことにより、それまでは問題なかった住宅ローンの支払いが滞納するリスクが高まる可能性があります。これは滞納を放置すると自宅が競売にかけられて売却され、強制退去となる恐れがあるためです。
ここでは住宅ローンの滞納と強制退去までの大まかな流れを解説します。
住宅ローンの滞納が続くと最後は連帯保証人へ債権者は一括請求を求めてくる
住宅ローンを滞納した場合、金融期間により異なりますが強制競売となるのは滞納から約15ヵ月ほど経過してからです。
主債務者の元結婚相手と連絡を取るのはつらい状況かもしれませんが、自宅へ届く督促状や期限の利益喪失通知などについて、早急に話し合い協力していかなければなりません。
放置したことで強制競売となった場合には、債権者は強制競売で得た売却代金を住宅ローン残債に充当します。さらに、残債があれば何百万円や何千万円を一括で支払うよう連帯保証人へ求めてくるのです。
住宅ローン滞納から強制退去までのスケジュール
住宅ローン滞納から強制退去までは概ね以下のスケジュールです。
滞納期間 | 内容 |
3~9ヵ月 | ・督促状や期限の利益喪失通知が届く
・保証会社による代位弁済後、債権者が移転 ・裁判所から競売開始決定通知が届く |
10~15ヵ月 | ・裁判所執行官の自宅調査
・裁判所から期間入札通知が届き競売が公告 ・期間入札開始 |
16~18ヵ月 | ・開札され売却許可決定
・競売代金が落札者より納付され所有権移転 ・強制退去 |
「入札」は競売の申込開始日、「開札」がその締切で落札者が決定する日をいいます。開札により落札者が決まると、落札者が落札代金を納付した時点で所有権は移転し、強制退去となります。
住宅ローンの連帯保証人の立場と義務
連帯保証人は借主と同等に責任を負い、債権者はどちらか一方に請求できます。
住宅ローンを契約する際には、返済比率や借入金額の問題により収入合算とするため連帯保証人となるケースが多いです。しかし、連帯保証人の立場は非常にリスクが高いのです。
連帯保証人と連帯債務者の違い
住宅ローンを借入する際に連帯保証人と似ている契約形態として、連帯債務者があります。違いは、債務不履行時の責任範囲にあります。
種別 | 責任範囲 | 特徴 |
連帯保証人 | 負担割合なし | 検索の抗弁権・催告の抗弁権なし
主債務者とは主従関係 |
連帯債務者 | 債務者どうしで責任負担を決められる | それぞれが債務全体の責任を負う |
連帯保証人は、債務全額を保証している立場です。つまり主債務者が支払えなくなった場合に返済の義務を負う立場です。住宅ローンを借りるうえで、収入合算できること以外に連帯保証人になるメリットはありません。
連帯保証人の特徴
保証人と連帯保証人の違いを比較すると以下の通りです。
催告の抗弁権 | 検索の抗弁権 | 分別の利益 | |
保証人 | あり | あり | あり |
連帯保証人 | なし | なし | なし |
連帯保証人には、自分よりまず債務者に請求してほしいと主張する催告の抗弁権と、自分より債務者の財産を先に差し押さえるように主張できる検索の抗弁権がありません。そして、保証人の人数で按分した金額だけを負担する分別の利益もありません。
連帯保証人はいつでも住宅ローン残債を請求されてしまう立場に置かれているのです。
住宅ローンの連帯保証人を解除する方法
離婚により住宅ローンの連帯保証人を解除する方法を3つご紹介します。
・住宅ローンの借り換えをする
・新たな保証人を立てるまたは別の担保提供をする
・自宅を売却する
現実的には連帯保証人を解除する交渉はハードルが高いです。しかしどれか1つでも試せるならぜひ試してください。
住宅ローンを借り換えする
住宅ローン契約時よりも年収が上がっていれば、単独名義で借り換えを行える可能性があります。
金融機関により重視するポイントが少し異なっているため、既存の金融機関では受け入れてもらえなかった場合でも他の金融機関であれば審査を通過できる可能性もあります。ネットバンクも視野に入れて、複数で事前審査をしてみましょう。
新たな保証人を立てるまたは別の担保提供する
安定した収入があるご兄弟やご両親を新たな連帯保証人として立てれば、自身の連帯保証人を解除することもできます。しかし、新たな連帯保証人が借入を滞納していたり、借入が多かったりすると、連帯保証人の審査に通りません。
もし、新たな連帯保証人を立てるのが難しい場合には、住宅ローン残債に見合う担保価値のある不動産を提供するという方法もあります。ただし、こちらも担保設定のされていない不動産でないと、審査が通らない可能性があります。
自宅を売却する
最も手っ取り早く連帯保証人を解除する方法は、自宅を売却し住宅ローン残債に充当することです。
住宅ローン残債があっても連帯保証人解除ができる任意売却という方法や、売却後もそのまま今の自宅に住み続けられるリースバッグという方法もあります。
不動産会社に自宅の査定をしてもらい、いくらで売却できるのか、また売却でかかる諸費用がどのくらいかかるのかなども含めて相談してみましょう。
自宅売却で住宅ローン残債がある場合でも連帯保証人を解除する方法
自宅を売却する場合、以下の通りアンダーローンとオーバーローンの2つのパターンがあります。
・アンダーローン:住宅ローン残債<家の売却代金
・オーバーローン:住宅ローン残債>家の売却代金
アンダーローンの場合には通常売却、オーバーローンの場合には任意売却という方法で連帯保証人を解除できます。ここからは任意売却についてもう少し掘り下げてご説明します。
任意売却とは
任意売却とは、自宅売却代金を住宅ローンへ充当した後の残債が返済できない場合でも連帯保証人を解除できる方法です。非常に便利な手法ですが、以下のような注意点もあります。
・返済計画を交渉し債権者からの同意を得る必要がある
・任意売却は個人信用情報に傷がつく
・複雑性が伴うため、専門家への相談が必要
これら注意点を踏まえて進めて慎重に進めていきましょう。
任意売却のメリットデメリット
強制競売と任意売却について表にまとめました。
強制競売 | 任意売却 | |
売却代金 | 相場の5~7割 | 相場に近い価格 |
残債額 | 多い | 少ない |
残債の支払方法 | 一括弁済 | 分割支払い |
プライバシー | なし(公開される) | あり(通常売却と同様) |
退去タイミング | 待ってもらえない | 調整可能 |
任意売却は相場に近い価格で売却できるため、残債も少なくなります。さらに債権者との話し合いによっては、分割返済も可能なため自己破産リスクを軽減できます。
任意売却事業者を自分で見つけなければならないのは、任意売却のデメリットとなりますが、インターネットを利用すれば、それほど苦労しないでしょう。
任意売却の流れや詳細につきましては、下記の「任意売却とは」をご参照ください。
まとめ
連帯保証人を解除する方法の1つである任意売却のメリット・デメリット、注意点をあわせて紹介しました。任意売却はリースバッグとも併用できるため注目を集めています。
もし、任意売却を検討されているなら、全国任意売却支援相談室(千里コンサルティングオフィス)にご相談ください。任意売却専門のプロフェッショナルが、親身になってサポートいたします。
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