住宅ローンの支払いは長期になることが多く、その支払い期間中には、さまざまな病気に罹患するリスクがあります。
この記事では、夫がうつ病にかかり働けなくなった場合について解説します。
住宅ローンは免除されるのか、免除されない場合にはどのような解決方法があるのか気になる方はぜひ最後までお読みください。
うつ病にかかり働けなくなった場合、住宅ローンは免除されるのか?
非情な結論ですが、うつ病で働けなくなった場合でも、住宅ローンは免除されません。
住宅ローン契約の際に、金融機関から団体信用保険(以下団信)に加入するよう勧められることが一般的です。
団信は、住宅ローンの返済中に、債務者が不測の事態でローンの返済ができなくなった場合に、本人に代わりローンを弁済してくれるものです。
しかし、団信の支払事由は加入者の死亡もしくは重度の障害を負った場合のみで、うつ病などの精神疾患により支払い不能になった場合は含まれません。
住宅ローンを滞納するとどうなるのか?
住宅ローンの滞納が続くと、最終的には競売になり家を失うことになります。
競売とは、債務者が受託ローンを滞納した場合に、債権者が裁判所に債務者の不動産を差し押さえて売却し、売却代金を債務の弁済に充当することです。
ここから、競売の流れとデメリットを解説します。
競売までの流れ
3~5ヶ月ほど滞納が続くとブラックリストに入ります。そして、保証会社が金融機関に弁済し、債務が金融機関から保証会社に移ります。
滞納6〜9ヶ月で競売の手続きが始まり、債務者に「競売開始決定通知」が届くことが多いです。
その後、裁判所の執行官が競売物件の調査に訪れ、物件の状況を確認し最低落札額を決定するのです。この執行官の調査後、通常4〜6ヶ月で、競売・引き渡しまで行われます。
競売によるデメリット
競売によるデメリットはいろいろありますが、債務者の最も大きな精神的な負担になるのが、不動産業者による近所への聞き込みです。
入札開始の2週間前に裁判所で競売物件の情報が公開され、これを見て興味を持った不動産業者が物件の調査にやってきます。なかには、聞き込みをする不動産業者もおり、このとき近所の方に競売にかかっていることが知られる可能性があります。
近所の方に好奇の目で見られることは、債務者にとって耐え難い苦痛といえるでしょう。
うつ病で住宅ローンの支払いができない場合の解決方法
うつ病で住宅ローンの支払ができず競売となった場合、最終的には家を出ていかなければなりません。
ただし、競売を回避する方法もあります。主な解決方法は以下の3つです。
・金融機関にリスケの相談をする
・うつ病でも下りる保険を利用する
・任意売却を利用する
それぞれ詳しく解説します。
金融機関にリスケの相談をする
住宅ローンを支払うのが難しい場合、金融機関に相談するとリスケを提案される可能性があります。
金融機関が提案するリスケは主に以下の2つです。
・一定期間返済を減額
・返済期間の延長
リスケの一つめは、一定期間返済額を減額してもらう手段です。後述の返済期間の延長に比べ、利息の負担が少ないのがメリットです。
注意点として、一定期間、返済額が減るので家計への負担は少なくなりますが、減額した分は後に返済しなければなりません。
そのため、将来的に返済額が増額する可能性があります。
一定期間返済を減額するのは、病気やケガなどで一時的に働けなけないが、仕事に復帰する見込みがある場合に有効な方法です。
もう一つが返済期間を延長し、月々の支払いの負担を減らす方法です。返済期間が長くなる分、利息も増え返済総額は増加します。
また、返済期間が35年のローンを組んでいた場合や期間延長で返済期間が35年を超える場合は、返済期間延長はできない可能性があります。
うつ病でも下りる保険を利用する
うつ病のときにも利用できる保険は、以下の4つです。
・住宅ローン支援保険
・労災保険
・傷病手当金
・民間の医療保険
それぞれ詳しく解説します。
住宅ローン支援保険とは、病気やケガで長期療養となって収入が減額した場合に、住宅ローンの返済を補償する保険です。病気やケガで30日以上の入院や医師の指示による自宅療養の場合に、保険金が支払われます。保険金額は毎月のローン額とほぼ同じで、1回の入院につき最長3年間支払われるものが多いです。
労災保険は業務に起因する病気やケガで働けなくなった場合や亡くなった場合に、支払 われる保険です。認定要件は以下の3つです。
・認定基準の対象となる精神障害を発病していること
・認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむねか月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること
・業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと
ただし保険加入者が会社なので、自営業者は利用できません。
傷病手当金は病気やケガで会社を連続して3日間休んだうえさらに4日目以降休んだ場合に支給されます。健康保険の補償のうちなので、やはり自営業者は利用できません。
民間の医療保険は入院や手術を対象とした保険です。多くの医療保険の約款で、うつ病を対象外としていないことから、うつ病でも入院や通院をした場合、保険金を受け取れる可能性があります。
不測の事態に備えて、住宅ローン支援保険や民間の医療保険に予め加入しておくと安心です。
任意売却を利用する
任意売却とは、住宅ローンが払えなくなった場合に、債権者である金融機関の了解を得たうえで、担保不動産を売却することです。
任意売却は競売と比較して、以下のメリットがあります。
・競売が市場の売価の5~8割なのに対し、任意売却は市場の売買に近い価格で売却ができる
・情報が公開されないため、近所の方に知られずに売却ができる
・競売では債務者が買い手を選べないのに対し、任意売却は債務者が買い手を選べる
・競売では退去時期を裁判所が決めるが、任意売却では事前交渉により債務者が決められる
競売に比べてメリットの多い任意売却ですが、成功させるには3つのポイントがあります。
1つ目のポイントは、任意売却専門の不動産業者や弁護士・司法書士などの専門家に相談することです。任意売却は手続きが複雑で、高度な知識が必要なので、任意売却の専門家に依頼する方が安心といえます。
2つ目のポイントは、できるだけ早い時期に相談をすることです。早い時期に相談をすれば、それだけ売り手を見つける時間が取れるので、売主によりよい条件で売却できる可能性があります。
3つ目のポイントは、金融機関との交渉を専門家に依頼することです。
金融機関は投資したお金を回収したいので、市場価格よりも高い売値を設定する傾向にあります。任意売却の専門家なら経験から適切な売却価格を金融機関に交渉してもらえるでしょう。
まとめ
うつ病に罹患しても住宅ローンは免除されずに、滞納が続けば最終的に競売にかかること、また競売を回避する3つの方法について解説しました。
特に任意売却は競売に比べて、債務者のメリットが多く、リスケや保険利用で対応できない場合の、競売回避の最終手段として一般的になりつつあります。
しかし、任意売却を行うには、手続きの煩雑さや金融機関との交渉といった専門的な知識が必要です。
任意売却を検討されているなら、全国任意売却支援相談室(千里コンサルティングオフィス)にご相談ください。任意売却専門のプロフェッショナルが、最後まで親身になってサポートいたします。
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