テレビドラマなどの差し押さえのシーンで、家財道具などに赤い札が貼られるのを見たことがある方もいるかもしれません。
しかし、実際の差し押さえについて詳しく知っている方は多くないでしょう。
この記事では、差し押さえられる財産と差し押さえられない財産や、実際に差し押さえられた場合どうなるのかなどを解説します。
また、差し押さえ後の対処方法についても解説するので、最後までお読みください。
差し押さえとは?
差し押さえとは、借金の返済を怠っている債務者に対し、自分の財産を処分することを禁じる手続きです。
債権者が裁判所に申立てをすると、裁判所の命令を受けた執行官が差し押さえを行います。
そこで差し押さえられた財産を手続きに則って換金し、債権者へ支払う仕組みです。
差し押さえは、競売など強制執行の端緒ともいえます。万が一、家が競売にかけられるようになると債務者は家を強制退去させられる可能性があります。このような理由からも、差し押さえを放置するのは避けるべきです。
差し押さえられる財産と差し押さえられない財産
差し押さえといっても、債務者のすべての財産が対象となるわけではありません。財産には、差し押さえられる財産と、差し押さえられない財産に分かれています。
差し押さえられる財産は?
差し押さえの対象となる財産には以下の条件があります。
・差し押さえ時に債務者が所有していること
・金銭的価値があること
・譲渡あるいは取り立てが可能であること
・債務者の生活の維持に必要でないこと
差し押さえられる財産で代表的な「債権」「不動産」「動産」の3つを表にまとめました。
債権 | 給与※、賞与、退職金、預貯金、売掛債権 |
不動産 | 土地、建物、分譲マンション(室内及び区分所有権) |
動産 | 軽自動車、バイク、骨董品、貴重品、時計、現金(66万円を超える)、有価証券(株式、手形、小切手など) |
※手取り額が月44万円以下の場合は、手取り額の4分の1まで、手取り額が月44万円を超える場合は、手取り額から33万円を控除した額
債権は差し押さえ禁止債権に当たらないかぎり、原則差し押さえ可能です。
差し押さえられない財産は?
債務を返済していないとしても、債務者にも仕事や生活があります。生活が出来るように、法律では必要最小限の生活用品は差し押さえの対象外としています。
その他、差し押さえができない財産の代表に、その人固有の権利があります。これを一身専属権といい、例えば、相続権・扶養請求権・慰謝料請求権などが一身専属権です。ただし、各権利が実行されて、具体的な債権になった場合は、差し押さえ対象になります。
上記同様、差し押さえられない財産で代表的な「債権」「不動産」「動産」の3つを表にまとめました。
債権 | 国民年金・厚生年金、国民健康保険・社会保険、生活保護給付金、児童保護手当 |
不動産 | 未完成の建物 |
動産 | 家財道具(タンス、ベッドなど)、家電製品(冷蔵庫エアコンなど)、仏壇、位牌など祭祀に使用するもの、実印その他の印など仕事や生活に必要なもの、現金(66万円以下) |
生活に必要なものだけではなく、宗教や仕事で必要なものも差し押さえできません。
差し押さえによるデメリットとは?
財産を差し押さえられると、債務者自身で財産を処分できなくなるだけでなく、さまざまなデメリットが生じます。特に重要となるのが以下の3つです。
・執行官が家に来る
・ブラックリストに載る可能性がある
・時効が中断する
それぞれ詳しく解説します。
執行官が家に来る
不動産が差し押さえられると、不動産の状況を確認するために、裁判所から執行官が不動産鑑定士をともなって、家を訪問する場合があります。
これにより、近隣住民に家が競売にかけられていることを知られる恐れがあります。
さらに、執行官は土地の境界が不明であれば、近隣住民に聞き込みをする可能性もあるでしょう。
ブラックリストに載る可能性がある
債務を2~3ヵ月滞納した段階でブラックリストに載り、新規の借入やクレジットカードの発行が止められます。
ブラックリストは信用情報に傷がついた状態ですが、生涯に渡り信用取引ができなくなるわけではありません。基本的には債務完済後5年経過すると解除されます。
時効が中断する
借金には消滅時効制度があります。債権の場合は最後の返済日から5年が経過すると、債務者は債権者に時効制度利用の意思表示が可能となり、成立すれば返済義務はなくなります。
しかし、差し押さえを受けると時効が中断し、進んでいた消滅時効の期間が0にリセットされてしまうのです。
競売を回避するための方法
家が差し押さえられて競売になると、近所の方に知られたり、強制退去させられたり、さまざまなデメリットが発生します。そこで、差し押さえを受けたとしても、競売が回避できる3つの方法を解説します。
・債務を一括返済する
・住宅ローン特則を利用する
・任意売却
競売を回避するための方法を、1つずつ確認していきましょう。
債務を一括返済する
資力のある親族や知人にお金を借りて、債務を一括返済する方法です。
債務を一括返済すれば、債権者は競売を取り下げます。お金を貸してくれた方への債務は残りますが、親族や知人なら無理のない返済計画を受け入れてくれ、その家に住み続けられる可能性があります。
住宅ローン特則を利用する
住宅ローン特則とは、個人再生の制度で、債務者が持ち家を維持したまま借金を整理し経済的に再生させる制度です。
住宅ローン特則を使うための条件は次の通りです。
・借金が住宅ローンであること
・債務者自身の持ち家であること
・住宅ローン以外の抵当権がないこと
・保証会社が代位弁済した6カ月以内であること
住宅ローン特則は競売を回避するために有効な方法ですが、条件が厳しくやや使いにくい面もあります。
任意売却
競売を回避するための3つめの方法が、任意売却です。
任意売却とは、住宅ローンなどが滞った場合に競売ではなく、債権者の許可を得て一定条件の下で担保付きの物件を売ることです。
任意売却は期間入札開始日まで行えるため、住宅ローン特則の期日を過ぎてしまっても使える可能性があります。
ただし、任意売却は専門的な知識が必要なので、任意売却に詳しい不動産業者、弁護士あるいは司法書士に依頼するのがおすすめです。専門家ならその豊富な知識と経験で債権者との交渉も上手くこなしてくれるでしょう。
まとめ
差し押さえ可能な財産・不可能な財産、また差し押さえによるデメリットや債務者の家に執行官が差し押さえに来たあとの対処方法について解説しました。
競売回避の3つの方法のなかでは、市場価格に近い価格で売却できる任意売却が、最もデメリットの少ない方法であるといえるでしょう。
任意売却は、競売回避の方法として浸透してきましたが、手続きの煩雑さや金融機関との交渉といった専門的な知識やスキームが必要です。
もし、任意売却を検討されているなら、全国任意売却支援相談室(千里コンサルティングオフィス)にぜひご相談ください。
任意売却専門のプロフェッショナルが、最後まで親身になってサポートいたします。
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