不動産取引において第三者のために行う契約のことを「三為契約」といいます。
三為契約は違法ではありませんが、売主と買主にとってさまざまなメリット・デメリットがあることから、利用する際には慎重な検討が必要とされています。
一般的な不動産業者が用いることもある手法なため、業者選びの際にも念入りな確認が必要です。
本記事では、三為業者を見分けるポイントとともに、三為契約を利用するメリットとデメリットもあわせてご紹介します。
三為契約を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
三為契約とは?
不動産売買において耳にすることがある「三為契約」とは、どのようなもののことをいうのでしょうか。
まずは、契約の内容をご紹介します。
第三者のためにする契約のこと
「第三者のためにする契約」を略したものが「三為(さんため)」です。
一般的な不動産売買は売主と買主で行われますが、三為契約では売主と買主の間に三為業者が入ります。
売主と三為業者、買主と三為業者がそれぞれ売買契約を結び、不動産の取引が行われます。
このとき、それぞれの取引価格は公開されないため、売主と買主は不動産がいくらで取引されたのかを知ることはありません。
宅地建物取引業法では他人が所有する不動産の売買契約は禁止されていますが、第三者のためである場合は例外とされています。
そのため、三為契約は合法の契約となります。
中間省略登記との関係
三為契約はもともと、中間省略登記の代替的手法として考え出されたものです。
中間省略登記とは、物件の所有権がA→B→Cと移転する際に、中間者であるBを飛ばしてA→Cへと移転登記を行うことをいい、現在は禁止されています。
しかし、Bが不動産取得税や登録免許税を支払う必要がなくなることなどもあり、この方法は実務上高いニーズがあったため、中間省略登記と同じ効果をもたらす方法として、三為契約が生まれました。
三為契約は一般の不動産業者が用いることもある方法で法律上の問題はありません。
しかし、トラブルが発生するケースが多いのが特徴です。
三為業者の上手な見分け方
三為業者との取引には注意点も多いため、物件を購入する際には、まず売主が三為業者であるかを見分ける必要があります。
三為契約業者を見分ける際のチェックポイントをご紹介します。
あわせて、任意売却を希望される場合の業者の選び方について、こちらのYouTubeでご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
「【必見】失敗しない任意売却業者選びの極意」
売買契約書の特約事項を確認する
まず、売買契約書の特約事項を確認しましょう。
三為契約を用いて転売する物件を購入する場合は、売買契約書の特約事項にその旨が記載されているはずです。
売買契約書の内容をしっかり読んでおくためにも、売買契約の締結日より前にコピーをもらっておくことをおすすめします。
ただし売買契約書の特約事項に記載があったとしても、物件の売主が悪質な三為業者とは限りません。
一般の不動産業者が三為契約を用いることもあるため、これだけで見分けるのは難しいかもしれません。
物件の所有者を確認する
購入する物件の売主が不正な転売を行う三為業者ではないかを確認するために、物件の所有者を調べる方法もあります。
物件の所有者を確認するためには「登記事項情報提供サービス」を利用するとよいでしょう。
インターネット上で不動産の登記情報を閲覧できる有料サービスで、「不動産登記情報(全部事項)」の「権利部(甲区)」を見ると物件の所有者が記載されています。
この部分が「第三者」になっている場合は、三為契約による転売の可能性があります。
三為契約を利用するメリット
三為契約はトラブルが多いといわれていますが、利用することで得られるメリットもあります。
契約不適合責任を追及できる
三為業者を利用して不動産を購入した場合は「引き渡しから2年以内であれば三為業者に契約不適合責任を追及できる」という決まりがあります。
一般的な不動産売買の場合だと契約時に契約不適合責任免責の特約がついているケースも多く、その場合は引き渡し後に何かしらの問題が判明してもその責任を追及できません。
宅建業者である三為業者が売主になる場合、原則として、買主が不利になるような特約をつけられません。
契約不適合責任については、国土交通省のサイトも参考にしてください。
融資付けされているケースもある
一般的な不動産購入では売主が物件価格を決めるため、金融機関からの融資額は物件価格を超えることはありません。
そのため、仲介手数料や登記費用などはローンを利用できず、買主が負担することになります。
その点、三為業者との取引では物件価格は業者が決めるため、フルローンやオーバーローンが利用できることもあります。
自己資金が少なくても、不動産を購入できる可能性があるということです。
三為契約を利用するデメリット
メリットとともに、三為契約を利用するデメリットやリスクについても確認しておきましょう。
買主にとっては高い取引になるケースが多い
三為契約を利用した不動産の取引では、売主と買主が直接顔を合わせることはなく、買主は売主がいくらで売却したのか、売主は買主がいくらで購入したのかを知ることはありません。
三為業者はできるだけ安く買い取って高く売ろうとするため、基本的に売主にとっては安く、買主にとっては高い取引になるケースが多いのが特徴です。
特に、売主と買主が不動産の相場に詳しくない場合は、このようなことが起こる可能性が高くなります。
購入を急かされる可能性がある
三為業者によっては、買主に不動産相場を調べる時間を与えないよう、購入を急かしてくることもあります。
「ほかにも検討しているお客さまがいる」などの営業トークで買主を焦らせ、短期間で利益を得ようとするでしょう。
トラブルに巻き込まれないためにも、事前に不動産売買に関する正しい知識を身に付けておくことをおすすめします。
まとめ
不動産売買において確認しておきたい用語の一つである三為契約について、詳しくご紹介しました。
三為契約とは第三者のために行う合法の契約ですが、売主や買主にとってリスクが伴うことも多いため、注意が必要です。
任意売却を依頼した業者が三為契約を用いている可能性もあるため、業者選びの際には念入りにチェックしておくことをおすすめします。
任意売却については、全国任意売却支援相談室(千里コンサルティングオフィス)までご相談ください。
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