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定年後の住宅ローン返済は大丈夫?返済困難なときの対処法

2022/6/30住宅ローン

住宅ローンの平均借入期間は30年以上。

利用する方の完済年齢も上昇しており、定年後の住宅ローン返済に不安を感じている方もいらっしゃるでしょう。

 

なかには退職金での住宅ローン一括返済を予定している方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、定年退職金の平均水準が低下している近年の状況では、老後破産にもつながりかねません。

 

この記事では、近年の定年後の住宅ローン事情と併せて、ローン返済が困難になったときの対処法をご紹介します。

とくに定年後の住宅ローン返済に不安がある方はぜひご覧ください。

 

定年後の住宅ローン

 

定年後の住宅ローン最新事情

 

近年、住宅ローンの完済年齢が上昇し、定年後も返済が残るケースが多く見られます。

「なぜ完済年齢が上昇しているのか?」と疑問を感じますが、以下の2つの要因が関係していると考えられています。

 

①晩婚化

➁住宅価格の上昇にともなう住宅ローン借入額の増加

 

①晩婚化

住宅ローンの平均借入期間は約30年。(令和2年度住宅市場動向調査報告書 )

晩婚化で住宅ローンを組むタイミングが遅くなれば、必然的に完済年齢も高くなります。

 

実際に日本経済新聞の調査では、2020年度の住宅ローン借入時の平均年齢は「40.4歳」で、完済予定年齢の平均は「73歳」と、高年齢化が進んでいるのです。

 

2013年の「高年齢者雇用安定法」によって、定年退職は60歳から65歳に引き上げられました。

しかし、仮に40歳で借入期間30年の住宅ローンを組んだ場合、定年後も70歳まで返済を続けなければなりません。

 

➁住宅価格の上昇にともなう借入額の増加

近年は住宅価格の上昇にともない、住宅ローンの平均借入額も増加しています。

2020年度の住宅ローンの平均借入額は、住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査」で確認できます。

 

・分譲マンション:4,545万円

・土地付注文住宅:4,397万円

・注文住宅:3,534万円

・建売住宅:3,495万円

(参照:2020年度 フラット35利用者調査

 

借入額が増えれば、毎月の返済負担を減らすために返済期間が長期化し、完済年齢の上昇につながります。

 

このように、晩婚化や住宅価格の上昇の影響で住宅ローンの完済年齢が上昇し、65歳の定年後も住宅ローンが残るケースが増えているのです。

 

定年後の退職金で住宅ローンは完済できる?

 

定年後も住宅ローンの返済が残るケースは多いです。

なかには、住宅ローンの完済年齢が定年後でも、退職金で完済もしくは繰り上げ返済すれば問題ないと考えている方もいるでしょう。

 

しかし、社会情勢が大きく変化している現在で、その考えは危険です。

過去には、退職金で住宅ローンを完済、もしくは繰り上げ返済しても老後生活に十分な額の退職金が支給された時期もありました。

 

それが現在は、退職金の平均水準が大幅に低下しているため、退職金をあてにしていると老後破産を招く危険があります。

 

定年退職金の平均額はピーク時よりも1,000万円減少

 

「退職金は以前よりどれくらい水準が低下したのか?」と気になる方もいるでしょう。

その直接的な答えは、厚生労働省の「就労条件総合調査」で確認できます。

 

参考に、大卒・大学院卒(管理・事務・技術者)の平均退職給付額の推移を見ると以下の通りになります。

 

【大卒・大学院卒(管理・事務・技術者) 勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者】

平成10年度:2,871万円

平成15年度:2,499万円

平成20年度:2,323万円

平成25年度:1,941万円

平成30年度:1,788万円

(参照:平成30年 就労条件総合調査 結果の概況

 

このように、平成10年度の平均給付額は2,871万円でしたが、20年後の平成30年度には平均1,788万円。

比較すると、1,000万円以上退職金の水準が低下しているのです。

 

老後の生活費が足りなくなる危険がある!

 

大卒・高卒など学歴を問わず、退職金の水準は年々低下しています。

その退職金で住宅ローンの繰り上げ返済をした場合、老後の生活費が不足し、ギリギリの生活を強いられる危険があります。

 

「老後はどれくらいの生活費が必要になるのか?」と不安がある方もいるでしょう。

それは、総務省統計局が集計した「総世帯及び単身世帯の家計収支」を見れば、老後の家計収支の平均が確認できます。

 

2019年度に集計された、65歳以上の夫婦二人無職世帯の平均的な収支は以下の通り。

 

収入:社会保障給付金などの実収入は1ヶ月あたり237,659円

支出:税金や社会保険料などの非消費支出を含めて1ヶ月あたり270,929円

 

収入237,659円 - 支出270,929円 = 33,270円の赤字

(参照:総世帯及び単身世帯の家計収支

 

あくまで一般的な収支平均ですが、現在は老後の生活費が不足する傾向があります。

このような生活費が足りない状態で、住宅ローンの返済負担が加われば、老後破産にもつながりかねません。

 

そこでここからは、定年後の住宅ローン返済が困難になったときの対処法をご紹介します。

 

支払いできないからといって住宅ローンを長期的に滞納すると、自宅を強制的に売却される「競売」にかけられる危険があるので、できるだけ早い段階で対策を講じる必要があります。

 

 

住宅ローン返済が困難なときの対策法:「借り換え」

 

近年、社会情勢の変化にともない、住宅ローンの金利も水準が低下しています。

 

そこで、高金利の住宅ローンを組んで返済している方は、低金利の住宅ローンへの借り換えが有効です。

毎月の返済額が減額できるだけでなく、返済総額の減額も可能になります。

 

住宅ローンの借り換えが有効な目安

 

金利の低い住宅ローンへの借り換えは、老後の返済負担軽減に有効な方法です。

ただし、別の金融機関で借り換える際、新たに借入額の3~10%ほどの諸費用がかかるため、以下の数値を目安に借り換えを判断する必要があります。

 

目安よりも数値が低い場合、借り換えるメリットが期待できないので注意しましょう。

 

①借り換え前後の金利差が年1%以上(現状の金利よりも年1.0%以上低い)

➁住宅ローン残高が1千万円以上

③残りの返済期間が10年以上

 

上記の数値はあくまで目安なので、条件に沿っていなくてもメリットが得られるケースがあります。

 

そこで、別の金融機関での借り換えを検討する際は、事前の試算が重要になります。

住宅ローンの試算は金融機関の窓口のほか、最近はインターネット上でも試算できるので、上手に活用しましょう。

 

高齢者向け「リバースモーゲージローン」も注目

 

近年、住宅ローンの返済が残っている高齢者の間で、「リバースモーゲージローン」が注目されています。

 

リバースモーゲージローンとは、自宅を担保に資金を借り入れ、利息のみを毎月支払う仕組みのこと。

契約者もしくは夫婦が死亡したあと、金融機関が担保となっている不動産を処分し、借入金を一括で回収します。

 

リバースモーゲージローンを利用すれば、月々利息のみの支払いになるため、負担が大幅に軽減できるでしょう。

 

リバースモーゲージローンを扱っている多くの金融機関では、「55歳以上」から申し込みが可能になっています。

ただ、金融機関によって細かい条件に違いがあるので、事前に確認しましょう。

 

住宅ローン返済が困難なときの対策法:「自宅の売却」

 

住宅ローンの返済が困難なときの最終的な対策法は、自宅の売却です。

返済を長期的に滞納してしまうと、「競売」にかけられる危険があるため、できるだけ早く売却の手続きを進める必要があります。

 

そこで自宅の売却をお考えの場合は、早急に住宅ローンの残債の確認と物件価格の査定を行ってください。

住宅ローンの残債と物件の査定価格を比較することで、定年後にローンの残っている家が以下のどちらの状態に該当するかを確認できます。

 

①アンダーローン:物件価格が住宅ローンの残債を上回る状態

➁オーバーローン:住宅ローンの残債が物件価格を上回る状態

 

この住宅ローンの「アンダーローン」・「オーバーローン」で自宅の売却方法に違いがあります。

 

アンダーローンの場合は「リースバック」がおすすめ

 

アンダーローンの場合、一般的な不動産売買で自宅を売却するのも有効ですが、「リースバック」の利用がおすすめです。

 

リースバックとは、不動産売買と賃貸借契約が一体になった不動産取引です。

自宅をリースバック事業者に売却して現金化したのち、その事業者と賃貸借契約を結び、家賃を支払いながら自宅にそのまま居住できます。

 

家賃の支払いは必要になりますが、住宅ローンの返済と比較すれば、経済的負担は大幅に軽減できるでしょう。

リースバックを詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

 

【参考記事】

不動産「リースバック」とは?利用するメリット・デメリット

 

オーバーローンの場合は「任意売却」の検討を

 

オーバーローンの場合、自宅を売却しても債務が残るため、一般的な不動産売買ができず、リースバックも利用できません。

そのため、オーバーローンの物件は「任意売却」が利用されます。

 

任意売却とは、住宅ローンの返済が困難になった不動産を、債権者の許可を得て処分する不動産取引です。

オーバーローン物件を債権者の同意を得たうえで売却し、住宅ローンの債務を残したまま抵当権(債権者の融資担保)などを解除してもらえます。

 

任意売却を利用すれば自宅を手放すことになりますが、競売よりも売買価格が高くなるので、ローンの残債務が少なくなる、もしくはゼロになる可能性があります。

 

任意売却をより詳しく知りたい方は「任意売却とは」をご覧ください。

 

まとめ

 

近年、晩婚化や物件価格の高騰の影響で住宅ローンの完済年齢が上昇し、定年後も返済が残るケースが多く見られます。

 

住宅ローンの完済年齢が定年後でも、退職金で繰り上げ返済すれば問題ないと考える方もいるでしょう。

しかし現在は、退職金の平均水準が低下しているため、退職金をあてにしていると老後破産につながる危険があります。

 

退職金が想定よりも少なく、定年後の住宅ローン返済が難しい方は、最悪の事態を招く前に対処しなければなりません。

有効な対策として、金利の低い住宅ローンへの借り換えや、近年は高齢者向け「リバースモーゲージローン」も注目を集めています。

 

それでも住宅ローンの返済が難しい方は、自宅の売却が有効な対策になるでしょう。

アンダーローンの場合はリースバックを利用すれば自宅にそのまま居住できますが、オーバーローンの場合は任意売却を検討する必要があります。

 

そこで、定年後の住宅ローン返済にお困りの方や、リースバックや任意売却をお考えの方は「全国任意売却支援相談室(千里コンサルティングオフィス)株式会社」までお気軽にご相談ください。

 

弊社は任意売却やリースバックに強いコンサルタント会社です。

1,500件を超える任意売却の実績のほか、リースバックも今まで培った経験やノウハウを活用し、100社を超える提携業者・投資家から一番条件のよい相手をお探しします。

 

現在、住宅ローンの返済にお困りの方は「全国任意売却支援相談室(千里コンサルティングオフィス)株式会社」までお気軽にご相談ください。

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