住宅を購入するとき、ほとんどの場合で住宅ローンが利用されます。
その際、「住宅ローンでも連帯保証人が必要なのか?」と疑問がある方もいらっしゃるでしょう。
基本的に、現在の住宅ローン契約では連帯保証人は不要。
ただし、住宅ローンを契約する方法や条件によっては、連帯保証人が求められるケースがあるので注意が必要です。
この記事では、住宅ローンの「連帯保証人」について詳しく解説します。
後半で連帯保証人から外れる方法もご紹介しますので、現在お困りの方はぜひ最後までご覧ください。
住宅ローンの借入時に「連帯保証人」は必要なのか?
「連帯保証人」はよく聞く言葉ですが、住宅ローンでも連帯保証人は必要なのか?
この章では、連帯保証人の定義と類似している用語との違いを紹介し、住宅ローンに連帯保証人が必要なのかご説明します。
連帯保証人とは?連帯債務者・保証人との違い
住宅ローンの連帯保証人とは、住宅ローン返済が滞ったとき、契約名義人に代わって支払い義務を負う人を指します。
一般的な連帯保証人は、賃貸住宅を借りるときや消費者金融などからお金を借りるときに利用される制度です。
この連帯保証人と似た言葉に、「保証人」や「連帯債務者」がありますが、違いを正しく理解していますか?
いずれも契約名義人の代わりに支払い義務が負わされる点は共通していますが、課せられる返済責任の重さに違いがあります。
連帯保証人 | ローン返済が滞ったとき、契約名義人に代わって支払い義務を負う人。
民法の「催告の抗弁権※1」「検索の抗弁権※2」「分別の利益※3」が認められないため、返済の拒否は原則できない。 |
保証人 | ローン返済が滞ったとき、契約名義人に代わって支払い義務を負う人。
民法の「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」が認められるので、連帯保証人よりも課せられる返済責任は軽い。 |
連帯債務者 | 連帯債務者とは、契約名義人と同等に返済義務を負う人を指し、契約名義人が返済困難になれば、連帯債務者に支払い義務が生じる。「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」が認められないため、返済の拒否は原則できない。 |
※1 「催告の抗弁権」(民法第452条)とは、債務者に先に支払うよう債権者に請求できる権利
※2 「検索の抗弁権」(民法第453条)とは、債務者の財産に対して債権者が執行するまで返済義務を拒否できる権利
※3 「分別の利益」(民法456条)とは、複数人の保証人がいる場合、保証人の人数で按分した金額だけを負担すること
連帯保証人は代理返済に対して一切の拒否ができないため、名義人とほぼ同じ責任を負う立場になります。
現在の住宅ローンは連帯保証人が原則不要
「住宅ローンでも連帯保証人が必要なのでは?」と考える方もいますが、現在の住宅ローンは連帯保証人が原則不要です。
住宅ローンを融資する銀行の多くが「保証会社」を利用して不払いの債権を回収しているため、連帯保証人が不要の場合が多いのです。
保証会社とは、住宅ローンの返済が滞ったとき、契約名義人に代わってローン残債の一括返済を保証する会社。
近年は従来の連帯保証人ではなく、保証会社との契約が一般化しています。
住宅ローンの契約者が「保証料」を支払えば、金融機関を介して保証会社と保証契約が結ばれます。
ただし、住宅ローンの残債がすべてなくなる訳ではなく、保証会社に返済を継続しなければなりません。
住宅ローンで連帯保証人が求められるケース
現在の住宅ローンは保証会社が連帯保証人の役割を果たします。
個人の単独名義で契約する住宅ローンの多くは保証会社が利用されますが、連帯保証人が求められるケースがあります。
おもに夫婦や親子など、共同で住宅ローンを組む契約パターンで連帯保証人が必要になります。
「収入合算」で住宅ローンを契約する場合
収入合算とは、夫婦・親子の収入を合算して住宅ローンを契約する方法です。
収入合算には、「連帯保証型」と「連帯債務型」の2種類のタイプがあり、連帯保証型を選択するときに連帯保証人が必要になります。
・収入合算(連帯保証型)
夫婦・親子のどちらかが住宅ローンの契約名義人になり、もう一方が「連帯保証人」になる契約パターンです。
契約名義人が返済できなくなれば、もう一方の連帯保証人に支払い義務が生じます。
・収入合算(連帯債務型)
夫婦・親子のどちらかが住宅ローンの契約名義人になり、もう一方が「連帯債務者」になる契約パターンです。
住宅ローンに対して同等に返済義務が生じますが、契約名義人が返済できなくなれば、連帯債務者に支払い義務が生じます。
「ペアローン」で住宅ローンを契約する場合
ペアローンとは、夫婦・親子がそれぞれ個々に住宅ローンを契約して、お互いが連帯保証人になる契約方法です。
それぞれが住宅ローンの契約名義人になるのと同時に、お互いが連帯保証人になるため、契約名義人である夫婦・親子いずれかが返済できなくなれば、もう一方にすべての返済義務が生じてしまいます。
金融機関の審査で求められる場合
住宅ローンの融資を申し込むと、金融機関は「事前審査(仮審査)」・「本審査」の2回の審査を必ず行います。
基本的に申請者の支払い能力を中心に審査が行われますが、金融機関から連帯保証人を付けるよう依頼される場合があるので注意が必要。連帯保証人を依頼する条件は金融機関によって異なりますが、おもな要因は以下の通りになります。
・住宅ローンの借入額に対して申請者の年収が低い
・フリーランスの自営業など収入が安定していない
・社会にでてからの勤続年数が少ない
連帯保証人の依頼は実際の審査によって判断されるため、事前に金融機関に確認すると安心です。
住宅ローンの連帯保証人は外れられる?
「収入合算(連帯保証型)」と「ペアローン」で住宅ローンを契約するときに連帯保証人が必要です。
収入合算やペアローンは、おもに夫婦で住宅ローンを組むときに利用される契約パターンですが、離婚する際にトラブルが発生する危険があります。
住宅ローンが残っている状態で離婚した場合、契約名義人である夫・妻いずれかが支払い不能になれば、もう一方にすべての支払い義務が発生してしまいます。
そこで、離婚時に連帯保証人から外れられればトラブルが回避できます。
しかし、「そもそも住宅ローンの連帯保証人から外れられるのか?」と疑問をおもちの方もいるでしょう。
住宅ローンの連帯保証人から外れるのは難しい!
実際、離婚時に住宅ローンの連帯保証人から外れたいと考える方は多くいらっしゃいます。
しかし、一度連帯保証人になってしまうと、離婚したとしても外れるのは非常に難しいでしょう。
金融機関にとっての連帯保証人は、住宅ローンの不払いで発生する損失を防ぐために設定する人的担保のようなもの。
離婚は契約内容にまったく関係ないため、離婚して旧姓に戻っても、現実的に住宅ローンの連帯保証人からは外れられないのです。
住宅ローンの連帯保証人から外れる方法
住宅ローンの連帯保証人から外れるのは非常に難しいですが、完全に外れられない訳ではなく、外れる方法はいくつかあります。
この章では、住宅ローンの連帯保証人から外れられる方法を3つご紹介します。
しかし、連帯保証人から外れるための条件は厳しく、金融機関の判断で可否が異なるため、融資を受けている金融機関に確認してから行動に移しましょう。
新たな連帯保証人を立てる
新たに連帯保証人を立てられれば、外れられる可能性があります。
しかし、新たに立てる連帯保証人は、親族や知人など身近な人に依頼する必要があり、断られる可能性もあります。
また、金融機関は不払いのリスクを回避するため、現在の連帯保証人と同等か、それ以上の返済能力がある人物を求めてくるでしょう。
別の金融機関で住宅ローンを借り換える
現在融資を受けている金融機関とは別の金融機関で、住宅ローンを借り換える方法もあります。
借り換えが可能であれば、現在の住宅ローンが完済できるのと同時に、新たな連帯保証人を立てることで、連帯保証人から外れられます。
しかし、住宅ローンの借り換えにともない、新たに手数料や印紙税などの諸費用が必要になるほか、収入や物件などの条件によっては審査で落とされる可能性があります。
自宅を売却する
連帯保証人から外れるもっとも確実な方法は、自宅の売却です。
自宅を売却する場合、住宅ローンの残債確認と物件価格の査定が必要になりますが、住宅ローンが以下のどちらの状態にあるかで対応が異なります。
・アンダーローン:物件価格が住宅ローンの残債を上回る状態
・オーバーローン:住宅ローンの残債が物件価格を上回る状態
アンダーローンの場合は、売却代金で住宅ローンを完済できるのと同時に、残りの利益分を2分の1ずつ財産分与が可能。
一方のオーバーローンの場合は、自宅を売却しても住宅ローンが残ってしまうため、不足分の返済を続けなければなりません。
そこで、返済が困難な方が行う不動産取引が「任意売却」です。
任意売却とは、住宅ローンの返済が困難になった物件を、融資を受けている金融機関の許可を得て処分する手続き。
オーバーローン物件を金融機関の同意を得たうえで売却し、住宅ローンの債務を残したまま抵当権を解除してもらう不動産取引になります。
任意売却を詳しく知りたい方は「任意売却とは」をご覧ください。
まとめ
住宅ローンの連帯保証人は、契約名義人に代わってローン返済の義務を負う人を指し、契約名義人と同等の返済責任が生じます。
現在の住宅ローンでは「保証会社」が利用されるため、連帯保証人は原則不要。
ただ、以下の契約パターンによって連帯保証人を立てる必要があり、契約名義人が返済不能になれば、すべての返済義務を負うことになります。
・収入合算(連帯保証型)
・ペアローン
基本的に一度連帯保証人になれば、離婚したとしても外れるのは困難ですが、以下の方法で外れられる可能性があります。
・新たな連帯保証人を立てる
・別の金融機関で住宅ローンを借り換える
・自宅を売却する
連帯保証人から外れられるかは金融機関の判断によりますが、最も確実な方法が「自宅の売却」です。
アンダーローン物件なら問題ありませんが、オーバーローン物件は「任意売却」を検討する必要があります。
そこで、最終的な方法として任意売却をお考えの方は「全国任意売却支援相談室(千里コンサルティングオフィス)株式会社」までご相談ください。
弊社は任意売却に強いコンサルタント会社です。
1,500件を超える任意売却の実績を持つプロフェッショナルが揃っていますので、お気軽にお問い合わせください。
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