住宅ローンを契約するとき、新築・中古にかかわらず「諸費用」と呼ばれる費用が物件価格以外に必要です。
ただ、諸費用がかかるのは知っている方でも、何のための費用なのか疑問をお持ちの方もいるでしょう。
「住宅ローンの諸費用とは?いつ支払うの?」
「諸費用にはどんな種類があるの?」
「諸費用をできるだけ安く抑える方法は?」
一般的にかかる住宅ローン諸費用は、借入額の3~10%ほどが目安。
かかる費用や支払い方を正しく理解していないと、資金不足で住宅ローンが借りられない事態に陥る危険があります。
今回は、住宅ローンの「諸費用」について、種類・費用目安・支払い方・支払うタイミングなど、皆さまが疑問に思う項目を分かりやすくご紹介します。
住宅ローンの「諸費用」とは?
この章では、住宅ローンを利用して物件を購入するときの「諸費用」がどのような費用なのか、概要をわかりやすく解説いたします。
併せて、諸費用の一般的な支払い方法も簡単にご紹介します。
概要
住宅ローンの「諸費用」とは、住宅ローンを契約するときにかかる手数料や保険料・税金などの費用を指します。
住宅ローンの諸費用は、借入額の3~10%が一般的な目安。
例えば、住宅ローンの借入額が3,000万円なら、90万円~300万円の諸費用が想定できます。
諸費用の支払い方
住宅ローン諸費用は、基本的に現金で支払う必要があります。
もちろん現金払いが理想ですが、経済的に現金での支払いが難しい方もいらっしゃるでしょう。
そこで住宅ローン諸費用は、現金払い以外に以下の2種類の方法での支払いも可能。
ただ、金融機関によって利用の可否が異なるため確認が必要です。
①諸費用を住宅ローンに上乗せして借りる
➁「諸費用ローン」を利用する
上記は、諸費用が現金で支払えないときに有効な支払い方法です。
全体的な住宅ローンの返済負担が大きくなるため、諸費用を考慮した資金計画が重要になります。
住宅ローン諸費用の種類と一般的な費用目安
住宅ローンを利用するとき、実際にどのような種類の諸費用が必要になるのか?
この章では、住宅ローン諸費用の種類と一般的な費用目安をご紹介します。
住宅ローン関係
住宅ローンの契約にともなう諸費用は、以下の2種類です。
①保証料
保証料は、保証会社に住宅ローンの保証人になってもらう費用です。
近年は従来の連帯保証人ではなく、保証会社との契約が一般的。
保証料の支払いは、以下の2種類の方法から選択できますが、かかる費用は借入額や返済期間で異なります。
・一括前払い型(外枠方式):借入額の2%
・金利上乗せ型(内枠方式):借入金利に年0.2%上乗せ
➁融資手数料
融資手数料は、住宅ローンの契約にかかわる金融機関の事務手数料です。
融資手数料の支払いは、ほとんどの金融機関で「定率型」と「定額型」から選択できるようになっています。
契約する金融機関で違いはありますが、一般的な融資手数料の目安は以下の通りです。
・定率型:借入額の2.2%
・定額型:3万円~5万円ほど
税金・登記関係
住宅ローンの借入にともなって必要になる、税金や登記に関係する諸費用です。
①印紙税
住宅ローンの借入額に応じて納める税金です。
契約書に収入印紙を貼り付けて消印すれば納められます。
目安は以下の通りになりますが、詳細は「国税庁」で確認できます。
住宅ローン借入額 | 印紙税額 |
500万円を超え1千万円以下 | 1万円 |
1千万円を超え5千万円以下 | 2万円 |
➁登録免許税
購入住宅にともなう、抵当権の「登記」にかかわる手続で必要な税金です。
登記申請書に印紙を貼り付ける形式で納めますが、費用目安は以下の通りになります。
登録免許税:住宅ローンの借入額×0.4%(新築時の所有権保存登記)
③登記代行手数料
登記手続きを司法書士などに依頼したときの、事務的な手数料です。
一般的な相場は、10万円ほど。
➃不動産取得税
土地や住宅などの不動産を取得したときにかかる地方税です。
自治体から送付される納付書の金額に基づいて納めます。
不動産取得税の計算式は、「不動産価格×税率」。
税率は原則4%ですが、令和6年3月31日までは軽減措置で3%に引き下げられています。
➄固定資産税
登記簿に土地建物所有者として登記する、固定資産に課税される地方税です。
固定資産税は、「固定資産税評価額(課税標準額)×1.4%(標準税率)」で計算されます。
保険関係
住宅ローンの契約にあたって、以下の保険への加入が金融機関から求められます。
①火災保険(地震保険)
現在ほとんどの金融機関は、火災保険への加入を求めています。
その理由は、火災によって担保となる住宅が失われる可能性があるためです。
併せて地震保険に加入する場合は、火災保険とのセット契約になります。
火災保険の契約期間は1年~最長10年で、主要損保会社の火災保険料(1年間)は以下の通りです。
※都内所在の築浅一戸建て、建物2,000万円・家財1,000万円、保険期間5年で基本補償をすべて含む場合
損保会社名 | 地震保険あり | 地震保険なし |
三井住友海上 | 103,380円 | 46,380円 |
損保ジャパン | 104,190円 | 40,890円 |
ソニー損保 | 109,715円 | 52,715円 |
(参照:ダイヤモンド不動産研究所)
➁団体信用生命保険
団体信用生命保険とは、住宅ローンの契約者が死亡したり、重度の身体障害を負ったりしたとき、住宅ローンの残債が保険金から支払われる保険です。
略称で「団信」と呼ばれ、住宅ローン利用に際してほとんどの金融機関が加入を求めています。
ただ、団信は住宅ローンの返済に含まれるほか、金融機関が保険料を負担するケースが多いため、保険料を支払う必要はありません。
その他
その他、想定される諸費用です。
①不動産仲介手数料
不動産仲介会社を通して住宅を購入したときに支払う手数料です。
仲介手数料は、法律で以下の通り上限額が決められています。
物件価格(税抜) | 仲介手数料の上限 |
200万円以下の部分 | 物件価格(税抜)×5%+消費税 |
200万円を超え400万円以下の部分 | 物件価格(税抜)×4%+2万円+消費税 |
400万円を超える部分 | 物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税 |
3,000万円の住宅を購入した場合の仲介手数料は、3,000万円×3%+6万円=960,000円+消費税になります。
➁その他雑費
住宅購入にあたって、住宅ローン関係以外に発生が想定される費用です。
・引っ越し費用
・家具や家電の購入費
・近隣挨拶やお祝い返しなど
かかる費用の種類や金額は各家庭で異なりますが、引っ越し費用を含めた雑費も考慮しておく必要があります。
住宅ローン諸費用はいつ払う?
「住宅ローンの諸費用はいつ支払うのか?」などの疑問をよく聞きますが、諸費用は項目ごとに支払うタイミングが異なります。
この章では、住宅ローン諸費用について、項目別に支払うタイミングをご紹介します。
住宅ローン関係
①保証料 | 住宅ローン借入時 |
➁融資手数料 | 住宅ローン借入時 |
税金・登記関係
①印紙税 | 売買契約時 |
➁登録免許税 | 登記時 |
③登記代行手数料 | 登記時 |
➃不動産取得税 | 入居時 |
➄固定資産税 | 物件引き渡し時 |
保険関係
①火災保険(地震保険) | 住宅ローン借入時 |
➁団体信用生命保険 | 住宅ローン借入時 |
その他
①不動産仲介手数料 | 物件引き渡し時 |
➁その他雑費(引っ越しなど) | 入居時 |
住宅ローン諸費用を安く抑えるポイント解説
住宅ローン諸費用について、「できるだけ安い費用に抑えたい!」と考える方は多いはず。
この章では、住宅ローン諸費用を安く抑える3つのポイントを解説いたします。
諸費用が少ない住宅ローンの選択
諸費用を安く抑えるもっとも重要なポイントは、住宅ローンの選び方です。
税金や登記にかかる費用はほぼ金額が決まっているため、住宅ローン選定がもっとも重要なポイントになります。
住宅ローン諸費用は金融機関ごとに項目や金額が異なるため、色々な金融機関の住宅ローンの比較が重要です。
とくに、住宅ローンの借入時にかかる「保証料」や「融資手数料」に注目して比較してみましょう。
保険料の節約
住宅ローンの利用にともなって、金融機関から火災保険への加入を求められます。
その際、金融機関から保険会社を勧められるケースは多いですが、できるだけご自身で保険料などを比較して、加入する保険会社を選びましょう。
損保会社を中心に色々なタイプの火災保険があり、補償範囲などを見直せばさらに保険料が安く抑えられます。
不動産仲介会社を介さずに物件を購入
中古物件など不動産仲介会社を通して購入したときに仲介手数料は発生しますが、売主が直接販売している物件を探して購入すれば手数料は発生しません。
現実的に売主が直接販売している物件は少ないですが、100万円前後の仲介手数料が節約できるため、時間に余裕がある方は不動産情報誌などで探してみましょう。
まとめ
住宅ローンを契約するとき、新築・中古にかかわらず、借入額に応じて「諸費用」が必要になります。
住宅ローン諸費用の目安は借入額の3~10%で、基本的に現金で支払わなければなりません。
現金払いが難しい方は、住宅ローンへの上乗せや諸費用ローンの利用も可能です。
ただし、全体的な住宅ローンの返済負担が大きくなるため、諸費用を考慮した資金計画が重要になります。
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